辰巳のレビュー・感想・評価
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半端なきどん詰まり。
なんかマイナーな出版社の青年誌で、ジワジワ連載している劇画(死語?)のような佇まい。例えば、まあメジャーブランドのモーニングだが、土田世紀の「雲出るところ」のような、人生どん詰まりのドブの中でもがく登場人物群像。で、構造は「レオン」や「タクシードライバー」。
辰巳の生業と生活の狭間にある真心を少女と映す
2024年劇場鑑賞27本目 良作 62点
後のカトウシンスケ、毎熊くん、藤原季節の出世作にもなったケンとカズで突如登場した小路監督待望の2作目
結論、悪くはなかったけど、期待値がちょっと高過ぎたのかもしれない
遠藤雄弥のキャラクターが強面で淡白そうと思いきや、情深く族上がりじゃないけど、弟分などの上下の熱さを秘めている、生業はサイコ寄りの心無い営みだが人間臭いのが2時間の成長語録として良かった
あと顔がカッコ良すぎる、特にフェイスラインの肉付きの無さが芸能界に選ばれるそれで見惚れた
対して森田想は適役も適役で、まずいっちゃあれだけどなんというか顔の造形の表情がどことたく幼少期から十分な教育だったり愛を受けていない、絶妙な太々しさややんちゃさがピンポイントにハマっている
これはタイトル拒絶のメンヘラ女役にも言えるし、わたし達は大人のありふれた女子大生役にも見える、わたしの見ている世界の全ての仕事出来る風な自我強めな次女も最高にハマっていた
いまいち思い返せないから、理解を深めたいしまた見返そうかなぁ、機会があれば
懐かしくも新しいヤクザモノ
暴対法が施行されたのが1992年。当時暴力団員は9万人程度いたらしいですが、その後30年余りの年月が経ち、現在は2万人そこそこまで減少したとか。少子化の波はヤクザの世界にも確実に訪れているようですが、他の業界と比べてもその落ち込みぶりはすさまじく、現実のヤクザの世界を産業に譬えるなら、まさに斜陽産業の際たるものと言えるでしょう。そうしたご時世を反映してか、最近のヤクザ映画は「ヤクザと家族 The Family」とか「すばらしき世界」など、時代に取り残されたヤクザや、元ヤクザの悲哀などを描いたものだったり、「JOINT」のように名簿売買とか詐欺などの経済犯罪寄りのヤクザの姿を描いた作品が目立っていました。
そうした中にあって本作は、古き時代の暴れん坊、無法者としてのヤクザ像を真正面から描いており、懐かしさと同時に新鮮さすら感じたお話でした。主人公の辰巳は、死体の解体と処理を担当しており、死体の解体シーンは決定的にグロいところはギリギリで映し出してはいなかったものの、暴力シーンも含めてかなりドギツイ作品でした。それでも話のテンポが非常に良く、ダレる場面が全くなくて次から次へと艱難辛苦が襲って来るので、観ていて飽きませんでした。
登場人物のキャラクター設定も際立っていて、主人公の辰巳はかつて自分の弟を自らの手で殺めたことのトラウマを抱えており、それが直ぐに唾を吐きまくるエテ公のような葵を救う伏線として効いていました。葵はどうしようもないエテ公でしたが、やがて辰巳と協力関係を築いていくようになり、何となくサルからヒトに進化したような気配も感じられました。そして何よりも圧巻だったのが、敵役の竜二でした。人の命をなんとも思わないのは他の登場人物も同様でしたが、性的にもヘテロではない雰囲気を醸し出しながら、躊躇なく人を殺すという、ホントの悪者という感じが十二分に伝わって来ました。
そして驚くべきは、竜二役の倉本朋幸が、本職の役者ではなく、舞台演出家が本業だということ。世の中表に出ていなくても、凄い才能の持ち主はいるものだなと、感心させられました。勿論主役の辰巳役の遠藤雄弥もカッコ良く、迫力満点でした。そして観客から間違いなく反感を買う役柄を見事に演じた葵役の森田想も、遠藤に負けない芯の通った演技を見せてくれたと思います。
限られた予算で創られたと思われる作品でしたが、シナリオと俳優陣の演技で、かなり面白い作品は出来上がるのだと、改めて認識させてくれた作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
瞬きを忘れた…
目を逸らしたくなるようなグロいシーンもありますが、一貫して辰巳の優しさを奥に感じるジャパニーズノワールでした。
ジリジリと詰め寄る、息を呑むシーンがいくつもあり目が乾燥気味です。
上映後に出演者の方々や監督のトークショーもあり、竜二役の倉本さんがとても明るい方で安心しました…役柄は完全にイッちゃっていたので笑
皆さんで公園でよく稽古をされていたとか!
作風とは打って変わって笑い沢山の時間でした。
パンフレットには脚本も載っていて買って良かったです。
殺伐とした気持ちになる映画
葵に感情移入ができない。そのため、彼女に肩入れする辰巳の気持ちがまったくわからない。
見ていて殺伐とした気持ちになりました。
別件で、辰巳の車にEXIVを選んだセンスに感動。 (しかも、あのさび具合)
あと、(特に前半)リュウジ(竜二?)を演じた役者さん、凄いなあと思いました。
Newタイプのヤクザ映画ってことかな?
新聞広告でこんな映画があることを知った。そしたらなんと横浜ブルク13で上映しているじゃないの。なぜT・ジョイ系の一番館がこんな渋い作品を、と思いつつホイホイ観に行った。
キャッチコピーは「新感覚のジャパニーズ・ノワール」。確かに暗黒街ものだけど韓国ノワールや中国ノワールとは違う。これは新時代の日本のヤクザ映画でした。だから東映なのかと納得。
主人公の辰巳が属している組織は「組」を名乗っていないし盃とかそういった様式的なものはないけど「一家」っていう表現が再々出てくるところはやっぱりヤクザ。トップはアニキって呼ばれている男で、辰巳とアニキは普段は漁港で働いている(このへんが新しい)。組織の周辺には堅気の自働車修理工場の経営者がいたり、半グレの解体屋のグループがあったりする。でもこいつらが皆覚醒剤の流通に絡んでいて所詮まともではない。で、アニキが覚醒剤の利益の独り占めを狙ってパートナーであった自働車修理工場の経営者を殺そうとする。殺し屋兄弟が経営者とその妻(辰巳の元恋人京子)も殺す現場に辰巳と京子の妹葵が居合わせて、ということで大騒ぎになる。
そこはやはり日本のヤクザであって基本、組織で動く。というか序列や貸し借りみたいな人間関係上の微妙な感覚があってバランスが保たれている。それをぶち壊してしまうのが、葵の突発的な行動なのである。
辰巳は、行きがかり上、葵と行動をともにすることとなり巻き込まれていく。辰巳と葵の動きにより状況は刻々と変化していき周辺は対応に追われる。この落とし所を皆で探している感じがいかにも日本のヤクザ映画っぽくって良いですね。話しを通してからケンカをするみたいなね。
世の中が変わってもあまり日本人のメンタリティは変わんないのかなと思ったりもしました。義理と人情を引きずっている感じがどこかある。この湿った感じが残る限り、韓国ノワールとはやっぱり違うのかなと。
森田想のハチャメチャぶりが素晴らしい
死人の指を落とし、歯を抜き、耳をそぎ、身元不明にするような死体処理の仕事をしていた辰巳は、弟がシャブの売人をし、シャブをくすねた事を咎めたが、その後シャブ中毒で弟は死に、天涯孤独となり、将来に希望も持てずにいた。その後、元恋人の京子が夫とともに刺された現場に遭遇し、一緒にいた京子の妹・葵と京子を連れ3人でその場を逃げた。結局、京子の命は救えず、最愛の姉を殺された葵は、犯人に復讐することを決意した。成り行き上、犯人を一緒に探すことになった辰巳は、生意気な葵と反発し合いながらも、彼女を助け、一緒に行動し・・・復讐は成功するのか、てな話。
名の知れた有名な俳優はほとんど出てない、マイナーな作品だったが、なかなか面白かった。
京子が刺されて重症だったから、たちまちその場から離れるのはわかるが、例えば病院の前まで連れて行って、119番するとか、救える手はなかったのだろうか?
未成年の葵がナイフで人を刺したり、銃で撃ったり、ちょっと飛躍しすぎな感じは有ったが、あれだけ後先考えない発言や唾やガムを怖い男に吐きかけるなどありえない行動を序盤に見せられると、なんだか応援したくなる不思議さが有った。
辰巳役の遠藤雄弥はイケメンでカッコよかった。
葵役の森田想はあんな下品な発言、行動、態度など、頑張っててなかなか良かった。そして、整った顔じゃ無いけど、愛嬌有って可愛かった。
猛犬チワワ
一家のシャブをかすめ取った輩から取り立てをする半グレ上がりに元カノを殺された解体屋が、威勢のよい元カノの妹を気に掛ける話。
取り立て屋兄弟の暴走に始まって、次の取り立て相手である友人の義妹のヤラカシ、そしてそれが元カノの妹とか、ちょっと相関や実は悪事を働いているヤツがいっぱいなややこしさはあるけれど、どうしようもない世界での情とかスジとか、そして哀しく優しい辰巳の巻き込まれ感とかとても面白い。
最後は少しまったりしっとりし過ぎちゃった感じだけれどとても良かった。
怖いもの知らず。
裏稼業で生計たまに漁師な辰巳に起こる話。
盗まれたシャブが原因で元彼女京子の死と、その京子の妹で生意気で怖いもの知らず、シャブを盗んだ張本人アオイの無鉄砲さで面倒な事に巻き込まれる辰巳だった…。
分かりやすく書くなら最近観た氷室蓮司より全然面白かった。俳優さん達は誰1人知らなかったけど、俳優さん達も普通に演技上手いし、金に困ってる下っぱヤクザってこんな感じ?と思えるほど俳優達も男臭い感じで雰囲気出てたし街中でこんな人達と出会って絡まれたらメンドクセーってな感じが出てました。
とりあえず葵ちゃんリアルであれでは耳切り落とされちゃいますね(笑)
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