「刻まれ埋められる死体は明日の自分かもしれない。」辰巳 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
刻まれ埋められる死体は明日の自分かもしれない。
裏社会で生きる男、辰巳の空虚な日々。ストーリーはもちろん、登場人物や配役に至るまで私はとても好きでした。組織のボスや警察との衝突が描かれることもない。あくまでやらかしてしまった末端の中だけで起こる話。結局みんな誰かにただただ使い捨てられているに過ぎない。
元カノの妹、葵の無責任で無謀な復讐に巻き込まれてゆく辰巳。金の為、自分の為、生きる為、今までそう言い聞かせてきた。大切な人を何度失えばこの世界から抜け出せるのか。馬鹿で横暴な葵に浩太の姿が重なって見える。
遠藤雄弥がとにかく素晴らしい。いつも冷静であまり表情に濃淡のない辰巳の細かな感情の表現が本当に見事だった。そして辰巳を取り巻く半グレ達のキャラも分かりやすくて良かった。私は後藤さんがお気に入り。更に竜二に関してはもはや途中からかわいらしくさえ見えてきた。
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