カット/オフのレビュー・感想・評価
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解剖学のお勉強
途中まではスリリングで、2本の線が謎を残しつつも娘ハンナを救おうとする検視官ハーツフェルド教授の必死さが伝わってくる。おとぼけ役でもあるインターンのインゴルフもいい味を出していた。
これほどまで解剖映像を見せつける映画も珍しい。特に中盤までのハーツフェルドの電話の指示だけで遺体を解剖させられるリンダの様子が面白い。車を運転するのはなぜかインゴルフ。その電話の内容をすべて聞いているから彼も解剖学の勉強になっただろうし、リンダは医者になるつもりはない漫画家なんだから、そのシーンをコミカルに描くことだろう。ブラックジャックか!
性犯罪の罪が軽いため復讐に燃える元検視官イェンス。3年8ヵ月で出所した犯人ザンダーの映像も不気味であり、軽くミスリードを誘うシーンばかり。結局は誰に復讐したいんだよ!と言いたくもなる展開はとにかく混乱させるだけなのです。終盤になってからヘンテコなヤクザを登場させるんだから・・・
まぁ、スッキリしないだけでなく、映像もゴマカシがあるような気がしてならない。ハンナの髪の色とか、ホクロの位置とか、完全に騙すテクニック。しかも犯人の舌がないことも説明になってないし、用務員エンダーにしても不死身ぶりにも納得できなかったりする。さらに二日間のブランクとビデオ映像。最も難解だったのは、最初のハンナの電話に出たのはいつで誰なんだ?ってことです。まぁ手の込んだ追いかけっこクイズみたいな手口だから、録音だとは思うのですが・・・携帯の扱いも杜撰すぎ。
まぁ性犯罪者の再犯とか、刑の重さという問題は十分伝わってくるのですが、終盤になってストーリーを触りすぎ。もっとシンプルにしてもらいたかったです。
すっきりしないミステリー。
作中でもっともカットされて目立つのが遺体である。
中々にリアルな遺体で内臓器も瑞々しい。
従って、この手合いの描写が苦手な人にはお勧めしない。
この作品では遺体は情報収集するツールなのだ。
ミステリーとしては、無関係のはずの登場人物がトントン拍子に繋がっていくので、どうなるのか気にはなるが、似たようなドラマは多いので唸るような展開にはならない。
ただ、こう言った事件が後を立たず、加害者と被害者のその後を考えると人権とは何か?と思う。身勝手に他者を傷つける、あまつさえ死をもたらす、そんな危険な獣に、人間のルールなど適用する必要はないと思う。
キャストがそんなに多い訳ではないが、エリック・ヤン・サドラーと作中フルネームが出てくるのが遅く、「エリック」と呼ばれたり「サドラー」と呼ばれたりしても誰が誰なのか?結構混乱した。
それにしてもマンガ(挿し絵)書きのリンダのど根性には平伏する。ホンマいきなり解剖は出来ん。
エンダーはホンマに可哀想。助かったとは言えツイてないにも程がある。
そしてハンナ…減らず口を叩いていたが取っ捕まってひどい目に、あれだけの被害に遭ったらフラッシュバックにやられて先々心配だ。
で、この回りくどい絵を描いた黒幕が被害者家族でしかも、加害者のサドラーを使ってやらせるとか狂気に近い。
身内ならサドラーを利用などせず容赦なく殺すべきだと思う。
イェンスの娘の事を考えると「何で?」としか思えない。
まぁホラーやミステリーに「なんで態々?」「なんでこんなにアホな判断するの?」とか突っ込んでも仕方ない。そうでなくては物語は成立しないのだから…
孤立
この原題タイトルは、「孤立」だ。
嵐で孤立してしまった孤島。
そこで人知れず発生する出来事。
ストーキングを相談できずに孤島に身を隠すリンダ。
「ストーカーは便利な言葉」
リンダは、ストーキングの恐怖を理解もせず、世間はこの言葉を安易に使っていると言いたかったのだ。
ハンナが誘拐され、脅迫され、単独で行動を余儀なくされた解剖医ポール。
娘をエリックに殺害され復讐心を募らせるイェンス。
司法や社会は存外、被害者や遺族の気持ちを汲み取ろうとはしない。
そして、映画は、リンダとポールを中心に、エンダーやインゴルフやを巻き込んで、徐々に構築される協力関係を対比さるように、事件を解決の方向に向かわせる。
僕は、このストーリーはサスペンスの形を取りながら、孤独と協力関係を対比させることに重きを置いているのではないかと思う。
特に、リンダとイェンスの孤独は、現代社会の抱える問題そのもので、僕達が見て見ぬ振り出来るようなものではないはずだ。
遺族の欲するまま量刑を決めるということではなく、社会として遺族とどのように関わっていくかも重要なはずだ。
サスペンスとしては、エリックとイェンスの犯罪を絡まった糸の塊のように仕立てたのは興味深いと思った。
ただ、映画は目を覆いたくなる解剖の場面も多く、ちょっと過剰というか思わせぶりな人物描写や、既視感の残るシリアル・キラーの異常性、そして、ありがちな展開もあって、イラッとすることもある。
でも、僕は、まあ、楽しめました。
いろんなカット!
娘が囚われた検死官ポールと、元恋人のトラウマに囚われている絵描きのリンダが、死体から得られるヒントを元にポールの娘を探す物語。
観客側には一応誰が犯人か示されているものの、その他の登場人物の言動や仕草がいちいち怪しく、度重なるミスリードもあり、どう真相に近づいて行くのか、他にも黒幕がいるのではないかと、観ているこちらも引き込まれる。
緊張感もたっぷりで、非常に好みの映画だった。好評価をしていて難ですが、イマイチ理解しきれなかった場面もちらほら。
あの鍵は、あの部屋の扉のもの・・・?
探していた「褒美」ってつまりあれのこと・・・?
最後に何故お前がそこから出てきた・・・!?
DVDとか出たら、じっくり見直して答え合わせをしてみたい。
とは言え解剖シーンはもう見たくないかな(笑)
思慮不足の回り道
最近娘と上手く行っていなかった検死官が誘拐された娘を追って推理を繰り広げていく話。
箱の中から見つかったという異様な損傷のある遺体を解剖したら頭部から謎のカプセルがみつかり、カプセルの中に娘の名前と電話が記されたメモが。
電話をかけてみると娘が誘拐された様子でそれを追っていくストーリー。
異様な死体の数々や解剖の様子等、エグさやサイコっぽさは良い感じだけど、これってサスペンスだよね?という、何故か唐突な音で驚かせるシーンもチラホラ。
死体から見つかる一つ一つのキーワードは、特に何てことなくサクサク謎が解かれて行くのに、繋ぎのパートやそこに至る流れが、詰め込み過ぎの能書きたれ過ぎでまどろっこしいし、ミスリードを誘いたいであろう余計な描写もたっぷりでテンポが悪い。
検死官が検死結果に犯人を書くんですか?作中のセリフにもあったけど、ネタばらしされても何故だかまったく理解出来ない的外れなオチだし、結局誰が?とか、何の為に?とかいう何一つ回収されないネタもチラホラ。
しっかりみたらダメなのか、しっかりみられていなかったのか…自分が理解出来なかっただけ?
雰囲気だけでかなりムリがある展開で非常に長く感じたし冗長だった。
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