「岐路」失くした体 針のむしろさんの映画レビュー(感想・評価)
岐路
本作は手首が主人公という、異色の作品。
手首が自分の本体を探す旅路を描いた本作、なぜ手首とナオフェルを切り離して考えなければならないのかというと、手首が切断されてから両者が別人格になっていく過程がテーマだからだ。
『失くした体』これは、手首が体という存在を喪失する物語なのである。
しかし、本作の素晴らしいところは、その背景、ナオフェルの過去の表現や比喩にある。
●ターニングポイントで毎回登場するハエ。
これは悪魔ベルゼブブとして不運をもたらす。
●どん底の人生に突如舞い降りたガブリエル。
彼女はナオフェルの天使として描かれている。
宗教的背景をベースに世界観の質を向上させたり、鳩と主人公の何気ない絡みのシーンさえ、ナオフェルの不幸な事故のメタファーとして描くなど、細部への拘りに感心した。
登場するリアルなキャラクター、若者の理想と現実、そして挑戦や飛躍、泥臭くも完璧に描かれていると私は思った。
ネタばれになりますが、最後砂浜に残された手形にノスタルジーを感じました。
是非、皆さんにもこの素晴らしい1時間20分を体感してほしいです。
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