「丁寧に描かれた作品です。画面や構図に惹かれるものを感じましたが、好みも分かれそうです。」失くした体 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
丁寧に描かれた作品です。画面や構図に惹かれるものを感じましたが、好みも分かれそうです。
予告やポスターの画像を見たときに、妙に懐かしい感じがしたのですが
それが何故か分からず妙に気になってしまい、結局鑑賞することに。
※ 劇場では1週間しか上映期間がなく、結局Netflixで鑑賞
この作品、 「手首から先が、元の体を探して動き回る話」 です。
こう書くと何やらホラーな感じがしなくもないのですが、
「手首」が「体の過去の記憶」をフラッシュバックしながら話が進んでいきます。
手首と体の運命やいかに。
という感じで話が進むのですが、
この話、冒頭よりハエが飛ぶ場面が何度も登場します
しかも、描写がすごくリアル。
飛び回る音もとてもリアル。
這いずり回る感じもとてもリアル。 きゃー
ハエ以外にも、ネズミやら蟻やら鼻水やら…、どれも妙にリアルです。
観ている側を不安な感じにさせる目的があったのなら、非常に効果的。 うーん…
TVサイズの画面でなく、劇場スクリーンだったらもっと嫌だったかも。
といいつつも
とても絵の動きがとてもスムーズです。
画面全体も、とても考えられた構図と構成でできているのが分かります。
これはとてもいい感じ。
そして、「体」が思いを寄せるようになる女性との
恋愛模様も絡んでストーリーが描かれて行きます。 頑張れ~
ストーカーまがいの行動に女性に引かれてしまい、失意の底に… あららー
ここでまたまたハエが… うーん。
最後の場面
主人公もヒロイン女性も、何故か笑うのです。
声を出すわけではないけれど、確かに口元が微笑む。
そこで笑う理由がなんなのか、未だ図りかねています。
☆
キャラの絵柄
フランス制作なので日本風では無い訳です。 なのに、
観ている内に違和感がなくなっていくという、不思議な感じがしました。
観てから1週間ほど経って
湖川友謙さんの絵を見たときの感覚に似た感じと
思い当たったのですが、さてどうでしょう。 似てるかな… ←ちと弱気
↑(イデオンやダンパインのの作画監督やキャラデザの方です)
余談ですが
手首が自律的に動き回る話というのを聞いて、最初
古谷三敏さんの「手っちゃん」が頭に浮かびました。
かなりシュールな作品だった気がします。
まだ読めるのかとネット書店を検索してみたのですが、
扱っているところは多くなさそうでした。
読みたいような読みたくないような、思案中です。
最後に
すごく芸術性の高い作品だなと思いました。
ネット配信で「いつでもどうぞ」で正解のような気がします。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。