「事件で浮き彫りになる人間の裏側のドラマ」ナイル殺人事件 ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
事件で浮き彫りになる人間の裏側のドラマ
「オリエント急行殺人事件」(2017年)は見たけれど、本作の78年版や原作は未見。ミステリなので結末を知らないのはむしろラッキーと思って見に行った。
謎解きに関しては、申し訳ないがちょっと拍子抜けだった。6週間で富豪女性に乗り換えて結婚までした時点で、もうこいつ(サイモンです)が動機もあって行動も怪しいし、女もグルだろうと思ってしまった。(あとこれは私の煩悩なのだが、有色人種の俳優を犯人に配することはしないだろうという邪道な推理をしてしまった)
それに加えて事件後のポアロの取調べが、関係者総当たりで全て煽り倒していくスタイルだったので、理詰めでじりじり真実に近づく過程というより、みんな怪しいよねという目眩しのための説明を聞いているような気分になった。ポアロがそれぞれに喝破していた内容が動機の話主体で、細かい現場の証拠の積み上げがなかったせいもある。
オリエント急行ではこんな調子だったっけ?あまり記憶にない。
彼の決めつけに近い口調の取調べの場に、うかつに第三者を立ち合わせたことで余計な死人が増えたように思えた。限られた面子の中にいるはずの犯人が判明していないのに油断していいのか、または何か意図があってあえて立ち合わせているのかとはらはらした。
失くなった絵の具やスカーフに着目して途中で考察するような、探偵らしい推理の経過を披露するシーンがなかったのも、謎解きの話としてはちょっと残念だった。(78年版と原作は、描写がもっと巧みなのかも知れません。あくまで本作の個人的印象のみ)
一方、謎解きをサイドディッシュにした人間ドラマと考えると、とても面白かった。あの場にいた人間たちの金銭欲や嫉妬や猜疑心は、それぞれの状況を踏まえれば気持ちは分かるようなものだったり、そういう人間は現実でも身近にいておかしくないと思えるような内容が多い。どこにでも転がっている心情が舞台さえ整えば、殺人を疑われてもおかしくない動機になり得るのだ。
最初の殺人が起きるまでが結構長かったのも、事件によって本心が見えてくる登場人物をそれぞれきちんと描くことに重点を置いているからと思えば納得出来た。一見にこやかに付き合っている人間達の裏側にとてもリアリティがあった。
それと、エジプトの壮大な景観には癒された。悠久のナイルの流れ、威容を誇るピラミッド、そんな景勝地を行く贅を尽くしたハネムーン。最近国内でもあまり遠出していなかったせいか、解放感が心に沁みた。
名作の理由にもっと納得したいので、原作も読んでみようと思う。
返信ありがとうございました😊😭余談ですが、最後オシッコに行きたくなり、謎解きがもどかしくてもどかしくて「ポアロ❗️早く手短に解決して!」と思いました。すみません下品な話で・・今後もよろしくお願いいたします。🙇♂️
こんにちは😃。イイねありがとうございました。探偵ってなんでしょう?ものすごく高圧的に論破しているし、令和の強行班の刑事ですらあり得ないと違和感出まくりで、いきなり証拠をまくし立てて、チョット・・慣れるの時間かかりました。全ておっしゃるとおり同意でございます。ありがとうございました😊😊。
今晩は
コメント有難うございます。
本作の78年版や原作では、リネットが少し鼻もちならないお金持ちに描かれていた記憶があるんです。で、少し気になりまして・・。
ケネス・ブラナーがポアロを演じた「オリエント急行殺人事件」では、殺された人物(ジョニー・デップ)が、それは仕方がないだろう・・、と言うくらいの悪役だったので、分かり易かったのですが。
あとは、幼い頃から思っている事で、それを言ってはいけないよ‥、と言う事を敢えて書くと、ポアロや、金田一耕助や、ファイロ・バンスにしても殺人を防ぐ事が出来ずに最後に謎解きをする(これが、オモシロイのですが)のが、小学生だった私にとっては、”何で名探偵なの?”といつも思っていました。
では、又。