「【”人は愛を貫くためには何でもする・・。””サー”・ケネス・ブラナーが原作「ナイルに死す」を尊重しつつ、”人を愛する事の尊さと危うさ”を盛り込んだ、衣装、意匠も含めて気品溢れる作品。】」ナイル殺人事件 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人は愛を貫くためには何でもする・・。””サー”・ケネス・ブラナーが原作「ナイルに死す」を尊重しつつ、”人を愛する事の尊さと危うさ”を盛り込んだ、衣装、意匠も含めて気品溢れる作品。】
ー 内容は、アガサ・クリスティー自身が”旅行ミステリーの最高傑作”と言った程、世界の推理小説ファンに愛された1937年発表の「ナイルに死す」が原作であるので、詳しくは触れない・・。
私自身は、原作は勿論であるが、1978年に公開された「ナイル殺人事件」も小学生時代にTVで映画好きの両親と観た。
ジャクリーンを演じたミア・ファロウが、アブ・シンベル神殿に現れた時の怖さは、今でも覚えている。
そしてお決まりの灰色の脳細胞を持つエルキュール・ポワロ(ピーター・ユスティノフ)が生存者を集めて謎解きをするシーンも・・。ー
◆感想
・資産家で美人のリネットを演じたガル・ガドットが美しすぎる。
が、原作では高慢な女性として描かれていたが故に、ジャクリーン(エマ・マッキー)の婚約者であった無職のサイモン・ドイル(アーミー・ハマー)を寝取った因果応報だろう、と思っていたのだが今作では、知的で人格的にも瑕疵が無い女性として、ガル・ガドットが品性高く演じたために、ジャクリーンとドイルの行為を否定的に観る人がいるかもしれない、と思ってしまった。
だが、逆に言えばガル・ガドットの美しきドレス姿が作品の気品を高めているとも言える。
・冒頭の、1914年の第一次世界大戦序盤のベルギー戦線での若きポワロの姿は、原作にはない。だが、ここを冒頭に持ってきた事で、ポワロの聡明さ及び顔に裂傷を負いながらも自分の手を握ってくれた看護婦だった恋人キャサリンへの想いが、後のポワロ(”サー”・ケネス・ブラナー)の人格形成及び生き方に影響を与えている事が分かる。
・キャスティングも一部改編されている。有色人種の俳優さんが多数起用されているのは、時代の趨勢を反映している。その代わり、レイス大佐(デヴィッド・ニーブン)は登場しない・・。少し、残念。
・トリックに関しては、ほぼ原作通りだが、ポワロに全てを明かされたジャクリーンの行為の描き方は良かった。
原作では、ジャクリーンがドイルを射殺した後に自ら自害するが、今作は二人で強く抱き合いながら、ジャクリーンはドイルの背に銃口を当て、自ら共々命を断つ。
抱き合いながら、崩れ落ちる二人の姿。
ドイルとの愛を最期まで貫く、ジャクリーンの想いが伝わって来るシーンである。
・ラストも原作にはないが”何時までも、傍に居て・・”と歌うサロメの歌声が哀しく響く、印象的なシーンである。
<今作は、”サー”・ケネス・ブラナーが原作「ナイルに死す」を尊重しつつ、随所で”人を愛する事の尊さと危うさ”を再構築して描き出した品性高き作品である。
エジプトのスフィンクス、アブ・シンベル神殿、クフ王・カフラー王・メンカウラー王の三大ピラミッドの威容も愉しめる作品でもある。>
NOBU様
こんばんは!「KAPPEI!」は観れていないのですが、某映画館のトイレで同作のあと一歩前へ的なポスターが目の前に貼られていてあまりのインパクトに笑ってしまいました(笑)
1500作以上という鑑賞数に驚きですが、1度もトイレに立たれたことがないのはさらに凄いですね‼私は逆に絶対に端っこの席を取るのですが、100作品に1回くらいは行ってしまっております。。
本作は何とか持ちこたえましたが、少々尿意に注意力を逸らされてしまった感はあります(笑)それでも、見応えのあるミステリーで面白かったです。
はじめまして。NOBUさん。
みかずきです。
フォローありがとうございます。
先月登録したばかりですが、宜しくお願いします。
作品をしっかり捉えた緻密なレビューありがとうございます。
私は1978年公開の前作も観ていますが、
本作は前作とは味わいが違っていました。
人を愛を貫く為にはなんでもするという点は共通でした。
演じる女優のキャラの違いはあると思いますが、
前作は一途な愛を感じました。本作は強く激しい愛でしょうか。
また、本作は、人種、ジェンダーなどの現代社会を反映しているので、
二番煎じという感じはあまりしませんでした。
では、また共感作で交流させて下さい。
-以上-
NOBUさん、こんにちは。NOBUさんの知性と教養は少年時代から蓄積されたものなのですね!大学までに2000冊読むって驚異的😳
今作の原作は私は読んでいないのです、大幅に改編されていたのですか、、。
「あしやの給食」私も見たいなぁと思ってます!
私は目が疲れやすいみたいで、映画は1日二作が限界です💦
NUBU様、以前にもコメントのやり取りをさせていただいてます(笑)
本作では私は本筋には全く関係のない、エジプトでのヨーロッパ人の傲慢さ(しかも無意識)みたいなのが気になってしまいました💦
ガル・ガドットは美しくて気品がありましたね!ただ、私は本作のリネットに落ち度が無かったとは思いません。親友の婚約者を奪ってますからね。もちろん、奪ってはいけないということはありません。恋に落ちたんだから仕方ないです。でも、知ってて横取りです。これは男女の意識の違いなんでしょうね。
本作の場合は初めから財産目的でリネットを嵌めた可能性もありますが、まあ女性2人を手玉に取ったサイモンが悪いと感じました。
こんばんは〜。ちょっと、ちょっとNOVEさんったら。
他の人のレビューを読んでいたら、bion さんのページで、発見!
いつか祇園で豪勢にごちそうしてください!!笑笑
NOBU様コメントありがとうございます。なんと小学校から読書傾向が同じとは!
坂口安吾の不連続殺人事件のトリックと本作のトリックは同じですよね。虚無への供物の文庫の分厚さは凄かった。中身は忘れてます。
こんばんは。
NOBUさんは映画だけでなく、読書量もすごいですよね〜。私は15年くらい前から読み始めたくらいなので、少ない少ない😂海外の作品はほとんど読んでないですね。最近は老眼も進んでなかなか進まないし😭
今作は実際に行けないエジプト観光をした気分に少しなれたかな!
この犯行が企てられたのは、果たしていつなんだろう…と思いながら見ていました。
ドイルをリネットに引き合わせた時には、既にジャクリーンの中に計画の萌芽があったのか?
それともリネットがドイルに横恋慕したのをキッカケに、ジャクリーンの心に悪魔が生まれたのか?
原作でのリネットの人物像について拝見して何だか腑に落ちました。おっしゃる通り、本作ではリネットが悪意のない聡明な女性として描かれていたので、原作未読の私はジャクリーン達をただ否定的に見てしまいました。原作の人物像なら、これが愛の物語だということもよく分かります。
リネットの人物像の違いは、物語全体の印象への影響が相当大きいですね。