劇場公開日 2021年3月5日

「「信じる勇気と信じぬく努力、信じあう心は世界を“結ぶ”」」ラーヤと龍の王国 なりさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「信じる勇気と信じぬく努力、信じあう心は世界を“結ぶ”」

2021年4月20日
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◎他人を信じる自分を信じろ!
この映画の唯一にして最大のメッセージ、それが“信じること”ただそれだけ。主人公は他人を信じることにトラウマを持つ過去がある。そんな主人公と出会う〈最後の龍〉シスーは人を疑うことを知らない。そんな二人が一緒に旅をしていく中で、シスーはラーヤに信じること、団結することの大切さを教えていく。
今の世の中、SNSなどにより色んな情報が山のように溢れかえっている。しかしそれらは、すべてが正しい情報とは限らない。全部鵜呑みにしていたら、ただただ情報に踊らされメディアにいいように利用されるだけ。何が本当で何が間違っているか、自分で見極める必要がある。だからまず、この情報は本当に正しいのか疑うことから入る。情報社会を生き抜く術ではあるものの、人間の本質としてはどこか悲しい生き方のように感じる。そんな世の中に生きていると忘れがちなこと。それこそがこの映画で言ってる”信じること”。
いがみ合ってたら、憎しみ合ってたら、結局負のジレンマは断ち切れなくて。人に信じてほしければ、まず自分が人を信じること。それで信じることが繋がれば、きっと今よりも、それこそディズニーのような鮮やかな世界になるだろうと、観ていた伝わってきた。

◎少年ジャンプのような設定と愛らしいキャラクターたち
かつて、人間と龍が平和に暮らす理想郷があった。そこに怪物が現れ、恐怖に陥れるも、最後の龍が魔力を石に込め撃破。脅威は去ったが、龍は姿を消し、人々は残された龍の石を巡って争い、国は5つに分断……
石を集めて世界を救う!仲間と一緒に石になった人を救う!
そんなドラゴンボールやドラゴンクエストのような、こんなジャンプでありそうな設定、大好きですわ。
アクションは今までのディズニー映画の中でもかなり本格的だし、主人公が使う剣はBLEACHの蛇尾丸だし←ラーヤが卍解って言いそうだったもんねww
また、今作では数々の魅力的キャラクターが出てくる。
主人公ラーヤの小さいころからの親友トゥクトゥク。ダンゴムシのようなアルマジロのような、その生き物はディズニーアニマルの中でもトップクラスに可愛い。映画を観ている最中、思わず「可愛っ…」ってマスク越しにこぼれちゃった。
そして個人的今作一押しキャラは、半分猿で半分ナマズの変わった生き物オンギの3匹組とそのオンギたちが面倒を見ているノイという2歳の女の子の窃盗団チーム。行動、表情、しぐさ一つ一つがまぁーーどちゃくそ愛らしい。

映像は今までのディズニー映画の中でもかなり綺麗でリアルよりもリアル感強く、ルックが凄く良かった。
ただ、最近のディズニー映画全般に言えるんだけど、女の子もっとアニメ感強めで可愛くてもよくないか。変にリアルというか、良くも悪くも割とどこにでもいるような顔してる子が多い気がする。今作ではラーヤとナマーリがそう。もっとディズニーディズニーしてる顔の方がキャッチーで好感持てると思うのは私だけか。
ストーリーも良く言えばテンポがいいが、悪く言えばルマンド並みにサクサクサクサク進みすぎて、でもメッセージ性は大きいから、どこか説教臭さが否めない。
また、ラーヤとシスーの友情もそこまで深いものを感じないし、伝説の龍の存在でさえ、なんかショボく感じたのは残念。
ディズニー映画という事で、ある程度の面白さが保証されてるっていう前提で、気になる部分がポロポロ出てきたかな。
ちなみに、今作の短編アニメーション「あの頃をもう一度」は思わず目頭が熱くなっちゃった。

なり