「一言決めないところがいかにもドウェイン・ジョンソンらしい一作。」ジャングル・クルーズ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
一言決めないところがいかにもドウェイン・ジョンソンらしい一作。
90年代の肉体派の主人公であれば、アクションの後にギャグやひとこと台詞を挟むであろうところ、本作のドウェイン・ジョンソンは何があってもただ寡黙に立ち尽くすのみ。全くの無表情でも、その存在感で決して空気を弛緩させないあたり、彼しか持ち得ない特性でしょう。ドウェイン・ジョンソンが製作に携わっているだけあり、彼のそうした特性をかなり効率よく活かした作りになっています。彼がちょっと動いただけ、あるいは重要な場面で敢えて何もしない、というだけで一つの見せ場となっているのです。
ただ、まったくのドウェイン・ジョンソン頼みの映画というわけでは決してなく、意外、といっては制作陣に失礼ですが、物語としても面白い内容になっています(ちょっと内容が『ミッシング・リンク』と被るけど…)。もともとディズニーランドのアトラクションという物語性をほとんど欠いた素材であるにも関わらず、物語の背景や方向性をしっかり打ち出したジョン・ノーヴィルら脚本陣の奮闘のたまものでしょう。
ウォルト・ディズニーはディズニーランドにジャングルクルーズを作るにあたって、本物の動物を使うという構想を持っていたそうですが(もちろん頓挫)、ある意味本作は、そんな彼の願望の実現と言えそうです。
本作のもう一人の主人公、リリーの弟であるマクレガー・ホートンは同性愛者という設定だったけど、編集時に明確な描写を削除して公開したとのこと。そこは省略せず、しっかり描いて欲しがった…。彼がなぜ姉と行動を共にするのか、など彼の言動の一部が少し分かりづらく、この設定を知ってからようやく納得いく場面も幾つかありました。
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