「家族連れやデートなら十分に楽しめます」ジャングル・クルーズ 霧夜蓮二さんの映画レビュー(感想・評価)
家族連れやデートなら十分に楽しめます
パイレーツオブカリビアンのノリを上手いこと引っ張ってきたアクション映画です。
アクションもあるし、川ならではのドキドキもあります。
ただ、敵方が少し印象が弱すぎるかなという印象。2つの勢力が敵として現れますが、それぞれ敵として戦うシーンが少なく、それぞれ印象が薄かった。
パイレーツオブカリビアンにおけるバルボッサのような魅力あふれる悪役というのはいなかったです。
ここから先はちょっとネタバレありの感想です
ストーリーとしてはこじつけが少し無理やりすぎたかなという印象。
特に物語の根幹に関わる部分として設定された、敵勢力の片方、呪われているアギーレは交渉が下手くそとかいうレベルではなく、ドウェイン・ジョンソン演じる主人公フランクに対しても逆恨みもいいところだっていう印象でした。普通に理由を懇切丁寧に説明して交渉していれば、呪われることはなかったはずです。
造形としては同じように呪われていた、パイレーツオブカリビアン2,3作目の敵達だった、デイヴィ・ジョーンズとその部下達や、5作目のサラザールとその部下達を想起させるデザインで、正直もう片方の勢力のドイツ軍の登場をさせなければもっと活躍できたのではと思ってしまいます。
あと、これは個人的な感想ですが、ポリコレの影響を大きく受けているなという印象。
女性がズボンを履くことへの偏見というか差別の目や、学会に所属できないなどの部分を序盤で描いたり、最後に意趣返しする部分は爽快ではありますが、劇中でエミリー・ブラント演じるリリーの行動を見せられると別の部分で問題があるのではと思ってしまいます。
目的のために物を盗むし、本人は知れぬ場所ではあるけれど、それが原因で人が死んでいる。当時の価値観で取り扱われているとは言え、売り物である猿や鳥を可哀想だからと片っ端から逃がして回る。入るなと言われていた船長の私室にピッキングして侵入する。人の話を素直に聞かないし、自分の意見を押し付けてくる。
一応、植物学で博士とってるという設定なんですけど、常識がない人間だから目くじら立てられていたのではと疑ってしまうレベル。
また、ジャック・ホワイトホールが演じるリリーの弟のマクレガーの描かれ方も気になりました。
小さい船に山のように服やバス用品、テニスの道具、ゴルフ道具などを持ち込もうとする、なよなよした役どころでした。ドウェイン・ジョンソンがムキムキの力強い男性なので余計に目立ってました。
あとこれは日本語訳の問題もあると思うのですが、彼はゲイだと遠回しにカミングアウトするシーンがあったそうなのですが、前情報なしで見に行って、話の流れがよく分からず、姉であるリリーのことが好きなのかと思って観てました。今回、感想を書く上で少し調べてみて、ああなるほどといった感じでしたね。LGBTに関する問題、描き方なんかはまだまだ難しいんじゃないかなと感じましたし、ストーリー上影響が全くなかったので、正直無理に組み込む必要があったのだろうかと思っています。