劇場公開日 2021年7月29日

「日頃のもやもやをザ・ロックが吹き飛ばしてくれる」ジャングル・クルーズ 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日頃のもやもやをザ・ロックが吹き飛ばしてくれる

2021年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 スカーレット・ヨハンソンがディズニーを訴えた。今年(2021年)の7月29日のことである。映画「ブラック・ウィドウ」の公開について、劇場公開と同時にディズニーがDisney+でストリーミングサービスを始めたからだ。ヨハンソンは劇場の興行収入に対しての歩合をもらう契約だったから、ストリーミングされて来場者が減少してしまうと彼女の取り分が減少してしまうというのが理由である。流石に権利は堂々と主張するお国柄だ。この訴訟で彼女が非難されることはない。

 本作品もディズニー作品で、もしかするとDisney+で同時配信しているのかもしれないが、当方は映画は映画館で観る主義なので、縁がない。ネズミーランドの人気のアトラクションを実写映画化したらしい。当方はそのアトラクションを利用したことがないが、CGIを駆使した本作品に比べれば実際のアトラクションはかなりショボいと思う。ショボいが、映画とはまったく違う体感がある。だから映画の観客はその体感を想像力で補いながら鑑賞する。ディズニー作品はそれがとてもやりやすく出来ている。本作品も例外ではない。
 ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンはアクションばかりではなく喋りも上手い。相手役のエミリー・ブラントが割とヒステリック系のヒロインの役が多い(本作品でもそうだった)のに対して、ザ・ロックは善玉も悪玉もモブキャラもできる。29歳でプロレスラーから映画デビューし、今年で49歳、俳優のキャリアは20年になる。印象の強い俳優で、本作品でも鑑賞後に思い返すのはこの人のアクションや表情がほとんどだ。ブルーバックやグリーンバックのスタジオ撮影が多いのだろうと思うが、そんな環境でも表情豊かに演じきる。ザ・ロックとCGIとの相性は意外といいのかもしれない。
 ストーリーはベタそのもので、不可能と思えた冒険だが、やってみればできてしまう。人間関係は最悪の出会いから試練を経ていい関係になる。もはや水戸黄門みたいにおなじみだが、それなりに爽快感はある。日頃のストレスやもやもやをザ・ロックが代わって吹き飛ばしてくれる映画である。楽しかった。

耶馬英彦