「ひよこを目指すよ」Away 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
ひよこを目指すよ
1人でよう作ったわ。
たぶん水しぶきがちゃんとあがらないところとかは余裕なかったのだろう。だから次の映画FLOWで水の動きにこだわったのかもしれない。
ガソリンがよくもつな、とか雪崩おきる山の麓の水の中に入ったら冷たすぎて即死では?とか色々あるが、そんな些細なことはまあいい。
エンドロールがあまりに短く本当に1人で作った感があった。そこがまずすごいから。
だから人物1人がひたすらバイク走らせる展開なのかと。1人で突き進む過酷なリアルを表現しているのかもしれない。
全編セリフなしでここまで見せるのがまずすごい。
地図を拾い地図の通りに進むとどうやら街に出るらしいことが分かる。この地図の見せ方も分かりやすい。ゲートの位置まで記載してある。少年がこの先どんなルートを辿るのか観客にすぐ分かるようになっている。
ゲームのチェックポイントみたいなゲートをくぐっていきバイクで進むのが基本的な展開。このゲートは先人達が残してくれたのだろうと考えるとロマンがある。
ひよこが優秀過ぎて。少年が助けたから懐いたとはいえ、雪山で死にかけた少年を起こすとかすごすぎて。
結構すぐ空飛べるし。
あの黒い巨人は死のメタファーだろう。そういう表現もわかりやすい。いかに黒い巨人に捕まらないで走るか、というポイントもゲームっぽくはある。
ラストは人影が見えたので街にたどり着いたハッピーエンドかなと思わせてブツっと終わる。この潔さ。
これセリフがないから全てキャラの表情や動き、風景の移り変わりで表現しなきゃならないので、相当大変だったはず。
チャプターが分かれていてチャプターごとに鏡の湖みたいなタイトルが出る。そこはどうしてもセリフがわりに入れたかったのかもしれない。
これを作ったからさらに自然の中をセリフなしで進むFLOWができたんだな、と分かる。すごい説得力。
この監督は2作もセリフなしで長編作ってるんだな。しかも共に広大な自然の世界を旅する話。
ひとつひとつの要素がめちゃくちゃ斬新!なわけではないのに、この監督の作品だとすぐ分かるのはとんでもねえセンスだ。ラトビアからこんな才能が出てきたことに驚き。
自分にできることは少しでも優秀なひよこを目指してこの作品の良さをアピールしてフライアウェイさせることぐらいですわ。