劇場公開日 2019年12月20日

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「「人間性の完全なる無駄遣い」だったが、違う人生でも結末はきっと変わらない。」テッド・バンディ アルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「人間性の完全なる無駄遣い」だったが、違う人生でも結末はきっと変わらない。

2021年7月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

知的

難しい

実際に起きた事件・犯罪を映画化。特筆すべきは“視点”が主役のテッドではなく、マスコミに近い第三者的なところ。なので、テッドが何を考えて行動しているのかを想像するのが楽しい。そして「サイコパス」で「シリアルキラー」な題材にも関わらず、驚く事に殺人のシーンはほぼ無しでストーリーは展開していく。

次々と知らない所で殺人が起きていくが、テッドは恋に落ちたリズと幸せに暮らしている。が、リズは一抹の不安を感じつつ、目の前の幸せを信じようとしてしまう。何が本当で、何が嘘なのか。テッドのとてつもなく高いIQが見え隠れする話し方、判断力、切り返し。直感で『怖い』と感じているはずなのに、つい近づいていってしまう恐ろしい程の『魅力』。

良く言えば、事実に基づいて忠実に、且つ鑑賞者を楽しませ考えさせる作り。
悪く言えば、淡々と事実に基づいて忠実に、起きた出来事をなぞっている作り。

テッド・バンディ本人及び事件について予め知っているかどうか。自身は予備知識無しでの鑑賞だったが、予想通りのラストにも関わらず“衝撃”を覚えた。
ザック・エフロンのテッド本人と見まごう程の演技力、リリー・コリンズ演じるリズの可愛さの中に見え隠れする不安と葛藤。だが脚本次第でもっと大きな起承転結で盛り上がり作れたはず。前代未聞の劇場型裁判を上手く活かしきれなかったのが残念。ラストに実際の映像が流れるのだが、本作の再現度が想像以上に高く感嘆。殺人鬼の生涯に興味が沸いたら是非。

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アル