「動く絵本」マロナの幻想的な物語り 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
動く絵本
ルーマニアのアンカ・ダミアン監督。
現代アートのよう。
幻想的であったり、
影絵のような夜の闇だったり、
とてもチャーミングな絵の連続。
血統書付きの白い大型犬が恋したミックスのペキニーズがお母さん。
私の名前は、9(ナイン)
9人兄弟の末っ子だからナイン。
生後12日目にお父さんの飼い主に捨てられた。
そして拾ってくれたのが、曲芸師のマノーレ。
とても不思議な姿。
赤い顔に黄色い肌。
体中に赤い縦線が血管のように走っている。
曲芸師なのでメッチャ体が柔らかい。
貧乏な曲芸師のマノーレはある日「月のサーカス」に誘われる。
“お前を捨てたりしないよ“
そういうけれど私は彼の幸せを願って身を引くのだった。
アニメーターさんの頭の中は《イメージの洪水》
顔も手も水色のイシュトヴァン。
塵溜めにいた私を拾ってくれた心優しいイシュトヴァン。
工事現場監督の年老いたお祖母ちゃんは酷かった。
皿を投げつけ、ガラス瓶を割ってひっくり返して、
私は瀕死の重症を追う。
イシュトヴァンの元も去ることになり、
片目パッチの女の子サランジュの家に貰われる。
ここでもお祖父ちゃんに捨てられそうになる。
このお祖父ちゃんのビジュアルが物凄い。
歩き方はクチでは言えないほどカックン、カックンしている。
そう言えばイシュトヴァンのお祖母ちゃんの顔も、
梅干しをクチに含んだように皺くちゃで灰色だったり、
(年寄りを酷く醜く描くのは悪意がある)
やっぱり夜の光景が一番好き。
影絵や切り絵のようでとてもロマンチックで素敵。
宇宙を現す球体や世界観はとても美しい。
ハート型の鼻をした犬の私。
女の子の私は、
9(ナイン)→アナ→サラ→マロナ
と呼び名が飼い主に寄って変わり、
マロナが愛するほど飼い主はマロナを愛してくれない。
好き勝手に飼ったり捨てたり・・・
ラストも切ない。
マロナの消え行く記憶の中に、
長いようで短い犬生(けんせい)が、
走馬燈のように宇宙を巡っただろうか?
琥珀糖さん
コメントを頂き有難うございます。
カラフルな色彩の中に、マロナの喜び、悲しみが切ない程に溢れた作品でした。
丁寧に書かれた琥珀糖さんのレビューを読んで、色んなシーンが蘇ってきました。あの独特な映像は、マロナから見えた世界なのかも知れませんね。
琥珀糖さん、お邪魔します。
>現代アートのよう
本当に独特な色彩感覚の作品でしたね。
今の日本の商業ベースでは、なかなかお目にかかれない作品。
そんな気がします。
外国のアニメ作品には
独特な雰囲気の作品が多い気がしていて
上映されるとなるべく観ることにしています。
(観のがしてしまう作品の方が多いですが…涙)