「犬が暗喩するもの」マロナの幻想的な物語り SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
犬が暗喩するもの
テレビで視聴。
はじめは退屈だと思って観ていたが、いつのまにかひきこまれて見ていた。
献身的な犬と身勝手な人間たちが切ない。
犬の気持ちや考え方って、庇護されなければ生きていけない立場にある人々、「子供」「女性」「病人」「老人」の暗喩なのではないかと思った。
庇護されているがゆえに強く自己主張することができなかったり、処世術として「耐える」「やり過ごす」という考え方をしていたり、男性原理的な思考では不合理な行動をとったり、進歩や成長より安定や安心を好んだり、といったところで感じた。
そういったいわゆる社会的弱者の、ある種の純粋さ、プライド、矜持、といったものが、歪んで見えたり、もどかしく思えたり、やはり切なく思えたりする。
もちろん究極的な弱者とは、暗喩でもなんでもなく、「犬」に他ならないが。
「子供のとき、こんな風に世界を見ていたな」などとも思った。
おそろしくてわけが分からなくて不安でいっぱいだったが、ギラギラとカラフルで、不思議なものでいっぱいの世界。
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