「事前のアニメ視聴は必須」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0事前のアニメ視聴は必須

2020年11月3日
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鑑賞方法:映画館

今話題の鬼滅の刃、ようやく鑑賞しました。
「アニメの続きを描いている」という事前情報がありましたので、一週間ほど掛けてアニメ26話をアマゾンプライムで鑑賞し、いよいよ昨日満を持して劇場版を鑑賞。

結論から言えば、アニメ26話を観るという時間と労力掛けてでも鑑賞すべき高クオリティの映画だったと思います。ストーリーも映像も、もちろんキャストさんたちの熱演も本当に素晴らしかった。
しかしながら、鑑賞中に「これは映画としてどうなんだろう」と思った部分が無いわけでもありません。この映画、「劇場版」というよりは「第27話の2時間拡大版」みたいな内容で、登場人物や世界観の説明とかが一切無くて完全に観客がアニメ全話観ている前提の作りであり、尚且つ結末も綺麗なものではなくて「とりあえず一段落ついた」みたいな、続編を匂わせる結末だったんです。そこが私個人的には微妙な部分でした。

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六人兄弟の長男として炭を売って生活していた竈門炭治郎(花江夏樹)は、ある日妹の禰豆子(鬼頭明里)以外の家族全員が鬼によって殺害され、禰豆子も鬼になってしまうという事件に巻き込まれた。家族の復讐のため、そして鬼になった妹を人間に戻す方法を探すために、厳しい修行を経て炭治郎は鬼と戦う秘密部隊である鬼殺隊に入隊し、人を喰らう鬼を退治する任務にあたっていた。ある日、「無限列車に乗って煉獄杏寿郎(日野聡)と合流し、鬼を倒せ」という指令を受ける。炭治郎は鬼殺隊の同期である我妻善逸(下野紘)と嘴平伊之助(松岡禎丞)と共に、無限列車に乗り込んだ。
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アニメ最終話である26話は無限列車に乗り込むシーンで終わり、今回の劇場版に続きます。
この劇場版では「これまでのストーリーをダイジェストで振り返る」みたいなシーンは一切無く、本当に「アニメ第27話」みたいな感じに話が進みます。それまでのストーリーや設定は知っている前提で話が進んでいくので、アニメ未視聴の人は100%置いて行かれる構成になっています。

このキャラは誰だ。鬼殺隊ってなんだ。何でイノシシの被り物してるんだ。主人公の背中に背負ってる箱に入った少女は誰だ。柱って何だ。
多分アニメ観ていない人は分からないことが多過ぎて内容を理解できません。アニメ観ないでこの映画を理解するのは、「TENETの時系列を一回の鑑賞で完全に理解する」くらい難しいと思います。

もちろん「アニメの劇場版」なのですからアニメを観ている前提でのストーリーが悪いと言っているわけではないのですが、これまで私が観てきたアニメの劇場版ってドラえもんやクレヨンしんちゃんみたいに「テレビアニメとのストーリーの繋がりが無く、映画単体で観ても楽しめる」とか、まどマギやエヴァ(序破Q)みたいな「過去のアニメシリーズのダイジェストやリメイクを劇場版として公開した後にその続編を公開する」とか、そういうタイプのものばかりだったので、今回の鬼滅の刃のように「完全にアニメの続きのストーリーを振り返りダイジェストすら無く公開する」というスタイルを観るのは初めてで、驚きを感じてしまいます。あんまり初見には優しくない映画です。

ネタバレになるので詳細は省きますが、映画のラストの展開もテレビアニメへの繋ぎを感じさせる中途半端な終わり方でしたので、私が映画を評価する際に重きを置いている「一本の映画として綺麗に完結しているか」という点においてはあまり良くなかったと思います。

しかしながら、「ファン向けの映画」だと割り切って鑑賞するのならばほとんど完璧に近い作品だったと思います。
滑らかに動くアニメーションに、CGも多用した迫力の戦闘シーン。実力派声優陣の熱の入った演技にアニメ版に続いてLiSAが歌う主題歌「炎」。キャラクターの魅力(特に煉獄さん)が詰まった最高の映画だったように思います。人気の高い作品だけあって、制作陣の情熱が観ていて感じ取れる素晴らしい作品でした。

既にアニメ鑑賞済みの鬼滅ファンならば絶対に観に行った方がいい映画ですし、時間と労力を掛けてアニメ26話を観てでも、鑑賞する価値がある映画だったと思います。オススメです。

といぼ:レビューが長い人