「普遍的なテーマの佐藤映画を観てみたい。」はるヲうるひと バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
普遍的なテーマの佐藤映画を観てみたい。
題材と演じる役どころがテレビでよく見る佐藤さんの
イメージから離れているので、びっくりします。
え?こんな物語を作るのか?と驚きます。
さて、本作。
振り切った舞台設定で人間の根本みたいなもんを
バーンと描いてます。抜き身の人間のぶつかり合い。
真っ当ってなんだろね?
仕事に清濁ってあるのかね?
親の愛ってなんだろね?
体裁ってなんだろね?
プライド持つってなんだろね?
なんてことを、人の体温を感じさせ
ながら描いていきます。
だから、妙にヌルっとしてます。
それに人間の原始的な欲求や色んな「愛」が
ゴツゴツとぶつかり合いながら見事に
葛藤としてを描いていきます。
どうしようもない人間たちの。
でも佐藤さんって、きっと人間が
好きなんだろうなぁって思いました。
嫌なところも面倒なところ、嫌いなところ
たくさんあるけど、好きなんだろうなぁ。
それに、可能性を信じてみたいよなーって
思ってるんじゃないかな?
結局は「人間っていいよね」って
言いたいのではないかな?って仕上がりです。
同じセックスワーカーを描いた
「タイトル、拒絶」とは異なる着地が
興味深いです。
俳優陣、素晴らしいですね。
特に仲里依紗さんが良かった。
ほんとに良かった。デビューのころから
演技好きだったけど、もっともっと
演じるところを観たいです。
その他の俳優陣も言わずもがな。
素晴らしいです。素晴らしいが故にちょいと残念な
ところが目についちゃうんですね。
どうしても腑に落ちないのがトクの
行動なんですよね。ラストの展開の元となる
トクの動機がイマイチ不明瞭なんです。
妹を思うならその選択はなかったんじゃない?
背負い込む必要性がわからない。
テツとの関係性を維持する理由がわからない。
そう、トクの葛藤が見えなかったんです。
同じくフブキの葛藤も。苛立ちの発露手段が
ようわからんのです。
トク自身、フブキ自身の気持ちに共感できるところ
が少なかったからイマイチ乗れなかったの
なんだろうなぁって思います。
故に結末がウルトラC過ぎて、舞台劇が元だからの
影響なのか、丸くおさめたいだけにしか見えない。
そこが残念でした、すごく。
別件ですが、脚本協力の城定秀夫さんって
あの城定監督ですよね?
どのあたりを協力したのか?興味あります。
印象的な作品でしたが、ぜひ次回作は
普遍的なテーマで取り組んでいただきたいですね。
とても興味あります。