「本気になった佐藤二朗」はるヲうるひと Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
本気になった佐藤二朗
イオンシネマ・ワンデーパスで観賞
あんまり前情報は入れておりませんでした
山田孝之はともかく佐藤二朗は
福田雄一作品でアドリブでボケ倒してる
印象しか無く番組出演時の印象からもああいう
のほほんした人なんだろうと思っていましたが
まあこの映画では見事に裏切られました
あのボケ倒すノリでサイコな役を演じると
こうもインパクトが出るのかと
孤島でポン引き宿の面倒を病弱の妹の面倒と
一緒に「見させられている」得太は
異母兄弟であり売春婦たちや得太ら兄妹に
辛くあたる哲雄に「支配」される日々
なぜそうなったのかという理由が徐々に明かされ
ついには思わぬ真相に辿り着くことになります
哲雄は得太や売春婦らを「本当の愛を知らぬ鼻クソ」
と罵り自分は一人娘と美人な奥さんを持ち
見下してきます
しかし童貞のミャンマー人が純粋な愛を
求めてポン引き宿にやってきて
アッサリ愛を育んでしまいます
この辺の対比が笑えつつもどこか
核心を突いていたりします
この孤島という舞台もよく効いており
逃げ場のない心情や情報の閉塞さが画面を通して
伝わってくるので「どうすればいいんだ」という
得太らの叫びに観る側は気圧される事になります
佐藤二朗のおとぼけ感そのままに狂気的な
哲雄のたたずまいは恐ろしいものがあります
みくびってました
あえて買春という性のやりとりという
要素を取り入れることで欲情からむき出し感が
うかがえる部分ももっともな狙いに感じました
このへんの描写は結構面食らうので人は選びそうですが
ただ妹の病弱キャラもどこか記号的で
いまいちわかりづらい感じですし
真相自体はそれまでの経緯からすると
かなりなんじゃそりゃ感もありますが
なんか作品の雰囲気で納得させられてしまう
感じです
こないだの「ホテルローヤル」もなかなかでしたが
これも匹敵する特異的な作品でした
個人的には好きです