「田舎なまりのクソおやじめ!」ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎なまりのクソおやじめ!
完全無欠の、古式ゆかしい推理サスペンス。
連想したのは刑事コロンボであり、モデルに作られた古畑任三郎か。
ダニエル・クレイグ演じる探偵が、死の真相を暴いてゆく。
字幕で鑑賞したのだが、吹き替え、もしくは英語で理解出来たら
なおさら臨場感たっぷりに楽しめたのでは、と思う。
それほど緻密に脚本は練られていた。
おかげで鑑賞中、予想していた犯人を何度も裏切られ、どうなる、が止まらず。
全編通じてコミカルな所も多く、凄惨、深刻で煽らないところも良い。
2019年作品ということで、ダニエル・クレイグにとっては、
「スペクター」と「No Time to Die」の間に撮ったものなのだろうか。
そう思って見ると、
演じる、絶対に人など殴りそうにない、もっさりした探偵役と某国のスパイとのギャップが楽しい。
(アクションなし、弾の一発も撃たず、色気もゼロ。挙句の果てには「田舎なまりのクソおやじめ」と言われてしまうのだから、吹き出した。まあ、それだけスパイの時は気合を入れてやっているんだろうな、とも思う)
真の主役かもしれないアナ・デ・アルマスの可愛くて、頭がキレて、勇気ある看護師も応援したくなるキャラクターで、こちらも見逃がせない。
のみならず終わってみれば本作には、人種差別や移民問題が芯にあると気づかされる。
悪人を捕まえて「はい、オワリ」にしないところも、
一見、軽妙なノリで油断させつつグサリと刺してくるようで、作り込みのうまさを感じた。
※シリーズ化しそう、と思ったら続編撮影中とありましたね