「こんなに出てきてお値段据え置き!!?」ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 ウシダトモユキ(無人島キネマ)さんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに出てきてお値段据え置き!!?
推理モノ好きな人が、自分の「推理力の腕試し」で観ても大丈夫なフェアな結末が語られる映画。
僕の推理力は負けたけども。
でももうそれだけでもこの映画が作られたことに感謝してしまうし、推理モノとしての機能に重きを置かず、フツーに鑑賞しても面白くて楽しい映画だった。本作単体としての評価以前に、ジャンルとしての推理モノがもう少し活発になると嬉しいな。
監督のライアン・ジョンソンという人は、タイムトリップを扱った『LOOPER』という映画で、ブルース・ウィリスに「(タイムトリップの)難しいリクツはわからん!」と言わせてみたり、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』ではレイに「私、パンピーですけど」ってことにしてみたりする“軽いちゃぶ台返し”をする。その映画の主旨や観客まで否定したりはしないんだけど、その映画やそのジャンルの“暗黙の約束事”を茶化してみせたりするっていうセンスがある。そのセンスが好きで僕は『最後のジェダイ』支持派なんだけど、まぁそれは別の話。本作で僕が好きなのは「80年代にパキスタン人から買ったんじゃねーか!」っていうツッコミに声出して笑ったなぁ。
それにしても俳優陣が豪華。「豪華キャスト」って言うと「知名度が豪華」ってイメージがあるんだけど、そういう意味での豪華ではなくて、「映画好きな人がオオッ!!って嬉しくなる」っていう意味での豪華。キャップことクリス・エヴァンス、へレディタリーの絶叫母ちゃんトニ・コレット、ブレラン2049のジョイちゃんことアナデアルマス、『トゥルーライズ』でシュワちゃんの奥さん役だったジェイミー・リー・カーティスなどなど。あと『IT/それが見えたら終わり』のイケメン少年もいるし、恐怖の顔面マイケル・シャノンもいる。こんなに出てきて料金同じでホントにいいの!!?と、思っちゃうくらい豪華だから、映画館でやってるうちに観たほうがいいと思う。脇役が豪華過ぎて、主役のダニエル・クレイグがただのおじさんに見えるもん。
噂ではどうやら続編もあるらしい。「ライアン・ジョンソンが自由に遊べるシリーズ」になるんだったらむっちゃ楽しみ。