「自分に向き合う」プリズン・サークル アンディ・フクさんの映画レビュー(感想・評価)
自分に向き合う
刑務所の更生プログラムの一環として行われている、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促すTC(回復共同体)。
このプログラムを経験した受刑者の出所後再犯率は半分以下とか。
アメリカでは50年ほど前から行われているが、日本では1箇所だけ。しかも、このプログラムを受けられるのは日本では受刑者40万人中たったの40人だけという。
そのTCを受けた受刑者4人を中心に、2年かけて撮影したドキュメンタリー。
貧困、いじめ、暴力、親の不在。
環境が悪くても犯罪を犯さない人はもちろんいるけれど、自分の犯した犯罪を振り返ることで、人との接し方がわからない、人の気持ちが分からない、社会から逃げているなど自分が考えもせずに隠してきた気持ちに気づく。その気持ちを言葉にする苦しさ、みんなの前で話す勇気を共有することで、被害者の痛みを感じ、今後どう生きていくか考えられるようになる…みんながみんなうまくいくわけではないだろうけど、話すことで変わっていく受刑者たちを見ていて、なぜTCプログラムがもっと広まらないのか残念に思う。
そして、こういう機会が子どものうちからあるといいのに。
信じてくれる大人がいたら違ったのに、とか、人との関わりがすべてを作っていくんだなぁ。映画に出ていた彼らの今後の人生に幸あれ。
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