「ハートウォーミングなだけの浅薄な作品」淪落の人 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
ハートウォーミングなだけの浅薄な作品
映画に“意味”なんてものが有るのか分からないが、もしも有るとすれば、この映画はハートウォーミングなだけの、“意味”に乏しい作品に思えた。
最初の方の、4人のフィリピン人の本音トークや、市場の“ぼったくり”のシーンでは、香港の実情を描いた社会派映画なのかと期待させた。
しかしその後は、チョンウィンとその家族、および、エヴリンの物語に矮小化されてしまう。
フィリピン絡みの話には生々しさがあるが、いずれも詳しいことは描写されない。
むしろ、エヴリンの幸せはお金で買えてしまったという、ぶっちゃけた現実が描かれているとさえ言える。
香港ならでは、の話とは言えない。
かといって、世界に普遍的な深みのある人間ドラマとも言えない。
等身大の話のわりには、妙に出来過ぎという、矛盾した印象の“ふんわり”した映画だった。
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