タイトル、拒絶のレビュー・感想・評価
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山田佳奈の今後の飛躍を確信する
2019年の東京国際映画祭で鑑賞。
劇団「□字ック」主宰の山田佳奈が、13年初演の同名舞台を自らのメガホンで映画化したもの。
「それぞれ事情を抱えながら力強く生きるセックスワーカーの女たちを描いた群像劇」という説明文だけ聞くと、ハードな内容を想像しがちだが、そんな事はない。
ある若い女の入店によってデリヘル嬢たちのアンバランスな関係が崩壊していくさまを、リアルなセリフの応酬で一気に描いている。伊藤沙莉の存在感はもちろんだが、恒松祐里と佐津川愛美の地道にキャリアを構築してきた演技力も秀逸だ。
19年に舞台「掬う」も鑑賞してきたが、男性とか女性とか関係なしに、山田佳奈という視点で何を見据えているのかが気になる、非常に興味深い作り手。再び長編映画を手がけてくれることを期待してしまう。
兎は笑い、狸は泣いた
雑居ビルの中、デリヘル事務所で繰り広げられる群像劇。でもそれは、なんせタイトルを拒絶しているのだから「デリヘル千夜一夜物語」にはならない訳です。
ギャルだか熟女だかとジャンルで別れたお店ではなく、さらには店舗スタッフにまでも女性が在籍するデリバリーヘルス「クレイジーバニー」。そのスタッフが主人公のカノウな訳なのだけど、彼女を中心に話が進んで行く訳でもない。
出演者すべてに背景があり、その背景が仄暗いからこそ彼女たちはココ居る。そして救いようのない話に映画は終始する訳だが、この救いようのない世界に生きる人が多く存在するのも事実なのだ。
作中では兎と狸が描かれる。私は兎か、それとも狸なのか。結果、兎が笑おうとも狸が泣こうとも、誰もが少なからず傷つき生きていく。タイトルを拒絶する狸のラスト、泣きのシーンだけでも金を取れる秀作。
もうちょい掘り下げれば良い作品。
デリバリーヘルス店に勤務する人たちの群像劇的な感じの映画だった。
その中で、女性を馬鹿にしたような店長がいたり、
はたまたデリヘル嬢が男性を軽蔑したりする表現があったり、
人が人を見下し憎んだいたりする中でも、
何かに縋り付いているような人間臭い様が見受けられた。
だが、いかんせん掘り方が浅いような気がした。
会話量のわりに、『で、どうした?』と思うようなシーンも数々。
例えば、マヒルのライターがつかないというシーンは何回か出てきたが、
奥深いメタファーが含まれているのかな、と思ったが、
特にそこから何かをくみ取ることができなかった。
後で知ったが、もともと舞台作品だったようで。
だからあのデリヘルの事務所のシーンが中心だったのか。
うーん、どうもどの人物のどの心情もあまり入り込むことできなかったかなあ。
あの眼鏡をかけて父が亡くなったと言っていた彼女が一番好き。
あと恒松祐里さん、前に観た作品が『凪待ち』だったので、180°違う役柄だったが、
相変わらず良かった。
伊藤沙莉さんは、本当主演として完成されていた。これからも主演増えそう。
確かに
タイトルは付けづらい。と言うか何が言いたいのだろう。こう言う環境に身を置くことになれば、当然卑屈になるだろうし、何かにイライラするだろうね。見終わっても発展性の無い作品でした。
客に見せない人間模様の舞台裏の物語。
物語の設定と何か刺激的な感じが気になって作品。
性風俗を題材にした作品って、個人的には結構ソソるんですがw、好みな感じもあって楽しみにしてました。
上映館の「新宿シネマカリテ」は平日なのに満員。
人を惹き付ける何かがある作品かと思い、期待して観賞しました。
で、感想は言うと…不思議な作品。
オープニングから外で上半身ブラだけの伊藤沙莉さんが「悪質なポン引き、娼婦が増えています。」と言った看板との対比が面白い。
頭からガツンと咬ましてくる様な迫力があります。
ストーリーもある様で無い様な感じで、デリヘルの待機場所での人間模様を描いてますが、これが結構ドロドロw
赤裸々な人間ドラマをもっと期待してましたが、何処かスカされる様な所もあり、それでいて結構生々しくて、重いし疲れる。
人の心の思いの丈を聞くのって、結構大変と言うか、エネルギーを吸い取られる感じ。
この作品はそんな感じのパワーはあるんですが、強い何かを持っているけど、まとまりが無いと言えばまとまってない。
言いたい事はそれぞれにあるけど、それは大きなメッセージと言うよりも愚痴と言うか、今の現状を吐き出さずにはいられない嘔吐の様なモノと言う感じ。
互いを罵りあう。もしくは互いをさげずみあい、不満を吐露する。
かと思えば、軽くバリアをかけて、適度な距離を取り、心の殻を籠る。
それぞれがそれぞれに心の傷を自身で舐め合う。
群像劇らしいと言えば、そんなんだが何処かアンニュイなんですよね。
そのアンニュイが合うか合わないかが、結構重要で一度すれ違いを感じたら、最後までその違和感が拭えないんですよね。
また、あらすじの紹介で「ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことをきっかけに、店内での人間関係やそれぞれの人生背景が崩れはじめる。」と言うのがあるんですが、…分からん。それが誰だったか個人的には全然分かんないんですよね。
そもそも、最初から崩れている様な人間関係に見えるし、誰が引き金になったかが解り難い。全員が主人公の様でいて、全員がモブの様な感じにも映るし。
群像劇のダメな部分が出ちゃっている感じです。
監督の山田佳奈さんは劇団□字ック(ろじック)主催で個人的には本谷有希子さんと同じ様な匂いがします。
演劇と映画は似て非なる物な感じなので、演劇の要素を映画に持っていくと結構しっちゃかめっちゃかになる事もありますが、この作品もそんな感じに映るんですよね。
主人公は一応伊藤沙莉さん演じるカノウですが、他にもクセの強い面々が一杯。
その中でヒロイン的なのが恒松祐里さん演じるマヒルですが、何処に焦点が当たっているかが正直微妙。
群像劇なので焦点と言うのもおかしいのかも知れませんが、そこがとっ散らかってる感じで惜しいんですよね。
カノウをストーリーテラーにして、それぞれのエピソードでデリヘル嬢の面々とこれまたアクの強い店舗スタッフを紹介していればもっとまとまったかな?と思うのですが、如何でしょうか?
偏見ではないんですが、何処か人生の辛酸を舐めている人の話って深くて面白いんですよね。その人そのものがエンターテイメントと言うか。
それを野次馬根性的に見るのはやっぱり刺激的でw、「苦労は買ってでもしろ」と言いますが、出来れば買いたくないけど、でも肥やしになるのは確かで、もっと言うと酒の肴になるw
だから面白そうな面々が多いだけにもっと掘り下げても良かったかなと思うと惜しいです。
カノウなんか面白いんですよね。可愛く見える様でブサイクにも映るしw
デリヘル嬢と初営業の際に客から逃げたのとか凄く面白い感じなるシチュエーションなんですよね。また伊藤沙莉さんのハスキーボイスが良い感じで場末感を醸し出していますw
伊藤沙莉さんは先日観た「ホテルローヤル」でも出演されていて、気になる感じの女優さん。
楽しみな存在です。
マヒルの言動は抜けている様で真理を突いている感じで面白い。
トラブルの元凶になるアツコ役の佐津川愛美さんは「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の頃と全然違っているのでビックリ。
マヒルの妹役のモトーラ世理奈さんは結構勿体無い使い方。
その分、マヒルが際立って見えるんですよね。
話の中軸をもっとカノウに持っていくか、もしくはマヒルに焦点を当てても面白いのに…と思えるし、残念な部分がやっぱりある。
ラストのビルの屋上から佇むマヒルのセリフや雰囲気は何処か諦めの気持ちや達観した感じでデリヘルに勤める女の子っぽくてリアルで良い。
いろんな気持ちを感情豊かに吐露するのも、何処か冷めた様な感じでいるのも今の女の子の偽らざる気持ちなんでしょうね。
そんな良い物があるのでやっぱり惜しい。
でも、観ないと始まらないし、観た事で感じる事も多々ある。
「自分はウサギではなくタヌキ。」と何処か客観的に物事を見ているカノウにも、性交渉を何処か達観しているマヒルにも、イライラしながら他人にマウントを取って自身を保っているアツコにも、店長にも、皆に味がある。
でも、なんか引っ掛かってもスカされる様な感じの作品。
ちょっと不思議な作品の感じです。
じわじわくる作品
この映画、デートであり?と思ったが、よくわからないタイトルと予告編や作品紹介と内容では、いい意味で裏切られ過激なシーンはほぼなくデリヘルの接客シーンも1シーンのみで、大半が待機場所の一室での群像劇。
私にはカノウとマヒルちゃんのW主演に見えた。
マヒルちゃんが軸で廻る人間関係。
本当にタヌキとウサギだった。
あの狭い事務所の中での人間関係が世の中で起きているであろう男女のドロドロしたものを詰め込んでいて女性なら一度は経験した妬みや軽蔑、優越感、異性には聞かれたくない台詞も…。
強烈なキャラばかりなのに一人一人にそれぞれ共感できる部分あり。
何を考えてるかわからないより人間くさくて意外と本音で話す熱い彼らが良かった。
ラストは救いを求めてしまったが拒絶された。
女性目線という斬新さ
伊藤沙莉さんが好き。
彼女みたさに初日初回に駆けつけました。
高校の制服着て映画に出てた頃が懐かしいくらいに衝撃的な冒頭シーン。
近頃、大活躍の沙莉さんに拍手です。
伊藤沙莉さんはじめ恒松祐里さんや佐津川愛美さん、片岡礼子さんなど、女優陣の熱い演技に魅せられた。
山田佳奈監督演出の舞台版をみてないのが悔やまれる。
女性目線からみたデリヘル業界という映画が斬新だと思った。
いつもそういう映画は男性目線に描かれているので、実は女としては嫌な気持ちもなっていた。
山田佳奈監督は女性と男性と両目線から描いていた。
デリヘル店長の般若さんが言うように女性目線と男性目線が違いすぎて噛み合わず、皆んな確かに狂ってる。
ハラスメント店長のラストシーンはすっきりした!
女性たちの想いを男性たちは分かろうとしないし、合わせようともしない。
自分にタイトルのない女性たちが力強く生きるパワフルな映画。
タイトルなんていらない、タイトル拒絶!
山田佳奈監督の視点が新鮮。
今後の作品が楽しみ。
_φ(・_・どっかーーん 私も叫びたい
上映館が少ないのに奇跡的に新潟で視聴できるとは、、、、。
デリヘル嬢の待機所での人間模様を描いたお話。女性を中心とした社会、言わずと知れず嫉妬、嫉みの世界。孤立気味で他者を寄せ付けない風俗嬢達とそのスタッフですが側から見るに濃密な人間関係を織りなす。拒絶するがその反面関係を渇望している様に思いました。
デリヘル嬢にもなれなかったスタッフの伊藤沙莉が不器用に嬢達と人間関係を結ぼうとする姿は自分を見ている様でお恥ずかしい感覚に陥る。No.1嬢の恒松祐里は人との関係をお金で判断している反面、金を無心する妹の関係を続けるアンバランスさを示します。
人生上手くいきません。世界が燃えてしまえばと思う時もあります。恒松祐里は最後
どっかーーーーん 空に叫び お腹すいた、、、と。
お腹すいたって生きていこうってことなんでしょうね。
伊藤沙莉最高です。今大注目してます。ひょっとして可愛い?えっ、えっ微妙か?
どーなのっていうところが大好きです。声優でも大活躍!
イメージは映像研の浅草氏!本当に最高!
もっと主役 準主役級で使って欲しい!!
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