「兎は笑い、狸は泣いた」タイトル、拒絶 CINE LADAさんの映画レビュー(感想・評価)
兎は笑い、狸は泣いた
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雑居ビルの中、デリヘル事務所で繰り広げられる群像劇。でもそれは、なんせタイトルを拒絶しているのだから「デリヘル千夜一夜物語」にはならない訳です。
ギャルだか熟女だかとジャンルで別れたお店ではなく、さらには店舗スタッフにまでも女性が在籍するデリバリーヘルス「クレイジーバニー」。そのスタッフが主人公のカノウな訳なのだけど、彼女を中心に話が進んで行く訳でもない。
出演者すべてに背景があり、その背景が仄暗いからこそ彼女たちはココ居る。そして救いようのない話に映画は終始する訳だが、この救いようのない世界に生きる人が多く存在するのも事実なのだ。
作中では兎と狸が描かれる。私は兎か、それとも狸なのか。結果、兎が笑おうとも狸が泣こうとも、誰もが少なからず傷つき生きていく。タイトルを拒絶する狸のラスト、泣きのシーンだけでも金を取れる秀作。
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