劇場公開日 2020年11月13日

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「読みヒト知らずの主題の所以」タイトル、拒絶 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5読みヒト知らずの主題の所以

2020年12月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

別の演目ですが山田佳奈さんの手掛けた
「□字ック」の舞台をひとつだけですが観劇しました。

山田さんの戯曲は
男女が感情むき出しで激しくぶつかり合う群像劇を
信条としている印象を持ちました。

そこで、
戯曲ならではの物語とは何なのかを考えてみました。

舞台上で実際 “ 生なま ” で観るヒトに
直接投げかけ胸に迫る物語が
その胸の内に打ち寄せた “ざわめき” を
観るヒト自身に所以を問うことが
戯曲の多くが信条としていることだと思うので
舞台の作劇そのままに映画化となると
どうしても物語の仕組みが難度を
増してしまうのだろうと思いました。

しがない演劇ファン、映画ファンのわたしですが
映画的なカット割りがもたらす情景よりも
演劇的な書き割りのような空虚さを
醸し出していた印象を強く受けましたし
観るヒトに〈 深度 〉を求められる
難しい映画だとも思いました。

それでも、スクリーン越しで観ていても
演じられていた女優陣の熱演は
胸に迫るものがありました。

この胸のざわめきに
わたしはタイトルが思い浮かばずに
あえて今は保留にしておきます。
もしタイトルを思い浮かぶとしたら
それは人生のたそがれどきなような気がするから...

野々原 ポコタ