劇場公開日 2020年11月13日

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「キャストに引き込まれる壮絶な日々、ロックに響き渡る女性の叫びを何と呼ぶ」タイトル、拒絶 かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5キャストに引き込まれる壮絶な日々、ロックに響き渡る女性の叫びを何と呼ぶ

2020年11月15日
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鑑賞方法:映画館

ロックに響き渡る、デリヘルに生きる女性の叫び。可笑しいほどハードボイルドで、オチまで手の込んだ秀逸な作品。山田佳奈、恐ろしや。
伊藤沙莉演じるカノウは、デリヘルの体験入店でギブアップし世話役に回る。そこでそれぞれが出荷を待つように過ごすデリヘル嬢の会話。上部だけしか見えぬ、ウサギを演じたい女性たち。しかし、内心にはそれぞれに引っ掛かったことがあり、カノウを通じて彼女たちの影を映し出す。ニュースから流れる、愛情のない子供の不毛な議論。店長には罵られ、男に消費される日々。フラストレーションを解消できない不器用な人たちが交錯するときに浮かび上がる、男から見た"女性"の姿。それは明らかに見下したものであり、そこへのアンチテーゼとささやかな答え。ラストを消化したとき、驚きと余韻が来る。
それにしても、キャストが皆上手いことは特筆して書くべきことだろう。元は舞台であったことも含意しても、あの熱量をそれぞれぶつけてくる衝動は大きい。そして何より、エロスを直接的に描かずともR15+のエンターテインメントとして通用させる監督の力に脱帽である。

たいよーさん。