「社会から見捨てられても、ここに生きている。」ファストフード店の住人たち Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5社会から見捨てられても、ここに生きている。

2025年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ネットカフェ難民ならぬファーストフード店難民たちの話。
主人公はエリート金融マンだったが破産してファーストフード店暮らしながら、同じくファーストフード店暮らしで厳しい生活をしている人たちに仕事を斡旋したり世話をしたりしている。

ゲームばかりしている家出少年。
義母がギャンブルで作った借金を必死に返す母と子。
妻の死を受け入れられない待つおじさん。

福祉が行き届かない中で支え合い暮らしている彼らの姿はなんともいじらしくたくましいのだが、感動で消費できない厳しい現実が待っている。

原題の「麦路人」は、特に香港や中国で使われる言葉で、ファーストフード店を避難所や宿泊場所として利用する困窮者たちのことを指すらしい。
舞台は香港だが日本でもこうして暮らしている人たちはごまんといるのだろう。

「 I’m Living It」といういかにもマックのパクリっぽいファーストフード店のスローガンが社会から見放された彼らの叫びに聞こえてくる。

Jax