「大切な人を思う気持ちと過ぎゆく時間」わたしの叔父さん humさんの映画レビュー(感想・評価)
大切な人を思う気持ちと過ぎゆく時間
ヌテラをたっぷり塗ったパンを朝食にし、おやつ片手にソファーでまったりするのが好きな叔父さんと、しっかり者の姪っ子クリスが暮らす田舎の酪農家のささやかな日々。
淡々としたやりとりに人間の匂いと温度があふれ本当の親子のような長い歳月、互いを必要とし大切にしてきたことが伺える。
そして避けては通れない老化と成長を実感する積み重ねを眺め、いつしか自分も含めた三角形を行き来すると透けてくるのは家族のなかにある〝自分のための人生〟だ。
クリスを邪魔したくない叔父さんの気持ちと叔父さんをどうしても守りたいクリスの気持ちが苦しくもあるが、この感情に向き合えるのは2人がそれまで幸せな時間にいた証なのかも知れない。
恩返しをやりとげてクリスはきっといつか彼女らしく羽ばたく。
そんな気がする。
近いほどみえにくいが実は限りある時間にある貴さ。
ゆっくりじっくり味わううち切なさや愛しさや感謝が胸を覆い、ふといつかのことを思い出したり、誰かに会いたくなる温かさをもつ作品だった。
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