「巧みな脚本と編集による新たな群像劇のフォーマット」悪なき殺人 ミニ映画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
巧みな脚本と編集による新たな群像劇のフォーマット
失踪した女性と間接的に関わる5人の男女一人一人の視点で物語が進み、時間軸や場所を超えて絡み合い、伏線を回収しながらすべてがぐるりと繋がってくる見事な仕掛け。
そことそこが結びついてくるかと最後まで唸らされた。
事件自体を推理していくというより、登場人物たちそれぞれの歪んだ愛情やすれ違いに観ている人も巻き込まれてはまり込んでいく感覚。
印象に残った言葉は「愛とは無いものを与えること、有るものを与えるのは快楽」。無償の愛というが、欲にまみれると拗れていくということか。
人間の生々しい性を斬新な構成で描いた作品。
タイトルを原題直訳の『動物だけが知っている』から『悪なき殺人』に変えたのは妙。その意味が分かったときさらに物語に深みが増す。
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