「社会派ドラマとホラーのバランスが・・・」ラ・ヨローナ 彷徨う女 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
社会派ドラマとホラーのバランスが・・・
大量虐殺を指示した罪に問われていた元将軍エンリケ・モンテベルデ。有罪判決を受けるも一部の抗議により無効となってしまい、屋敷に一家で籠ることになったが周囲は常にデモが起きて悩まされ続ける。
メイドがほとんど辞めていって、先住民のアルマが新しく雇われた。この女性が虐殺された怨念を背負ってエンリケを苦しめることになるんだろうな~と思っていたら、なかなか恐怖シーンが出てこない。エンリケの孫であるサラがアルマに懐いてしまい、プールに沈められるようなスリリングな場面はあったけど、罪のない人は殺さない・・・と。
エンリケが認知症じゃないかと医者でもある娘が心配するが、実は違う方向へとストーリーは進む。視点がちょっと定まらず、誰が怖がってるんだかよくわからないし、このまま軍事独裁政権批判で終わっても作品として成り立つというアンバランスさ。ちょいと終盤はダレてくるんだけど・・・
悪夢を見せてやる!的な、虐殺に遭った先住民マヤ系イシル族。「証人たちは全員娼婦だ」などと暴言を吐いたりするエンリケが憎々しいけど、裁判じゃ勝てない。そんな民衆の恨みをアルマが引き受けたわけだ。最後にはゾクっとさせられたけど、ホラーを期待していたら肩透かしを食らってしまうこと間違いなし。じいじとばあばの確執みたいなものもあったりして、今後のことも考えると、残された家族が可哀そうにも思えてくる。また、エンディングの歌は悲哀がこもっていてズシンとくる!
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