「KはカージーのK。ブロンソン愛に満ちたC級ヴィジランテ」野獣処刑人 ザ・ブロンソン よねさんの映画レビュー(感想・評価)
KはカージーのK。ブロンソン愛に満ちたC級ヴィジランテ
麻薬売買、人身売買、少女売春・・・21世紀とは思えない荒廃が蔓延る何の希望もない街でラジオDJは嘆く、警察はあてにならないと。その声に応えるかのように深夜の響く銃声。人里離れた一軒家に暮らす母娘のポストに投げ込まれる封筒、そこには大量の札束が。母娘を遠くから見守る一人の男がいた。その男の名はK・・・。
こういうヴィジランテものはだいぶ少なくなりましたけど、未だ健在のジャンル。最近だと『ライリー・ノース 復讐の女神』とか。本作は邦題の通りそんなジャンルの先駆けである『狼よさらば』に対するリスペクト漲る作品。まあとにかく主演のロバート・ブロンジーがチャールズ・ブロンソンによく似てる。ここにグッとくるのはアラカン、アラフィフだけですが、もう正直それだけが肝といってもいいでしょう。とにかく低予算で最初から最後まで思わせぶりで沈鬱な灰色の景色の中、もっさりしたオッサンがオタオタしながら街のダニどもを殺して回る物語ものっぺりしていて牧歌的。引きのカットを多用した映像も含めて70、80’sに山ほど観たBからZ級アクション諸作品が纏っていたいかがわしさもキッチリあるし、それでいてPOV視点のシークエンスもあったりして意外と現代的でもある。語り部であるDJを演じている一体何人目の兄弟なのか判らないダニエル・ボールドウィンが隠し味程度のお得感を添えているのでアラカン、アラフィフだけはそれなりに満足できますが、最近の細かいカット割りに慣れた人なら始まって5分で熟睡するやつです。個人的にはなくなってもらっては困るジャンル、これからも応援していきたいと思います。
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