アイロ 北欧ラップランドの小さなトナカイのレビュー・感想・評価
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寒がりの人には無理でしょう・・
小鹿物語やディズニーの小鹿のバンビなど小鹿の好きな子は多いでしょう。本作は監督が子供たちのリクエスト、「サンタさんのトナカイはどうやって暮らしているの?」がきっかけだったようです。構想からラップランドでのロケハン撮影に120日、編集など完成までに3年を要した力作です。
ギョーム・マイダチェフスキー監督は元生物学者でナショナルジオグラフィックほか多くの野生動物のドキュメンタリーを撮っていますが、監督は本作はドキュメンタリーではなくドラマだと言っています。まだ雪の残る山麓で群れから離れた母親から生まれたアイロの一年の成長の物語です。
一応80ページ程度の脚本があり撮りたい映像をハンティングしたそうです、撮りだめたラッシュは600時間にも及んだとのこと。
ラップランドの過酷な冬、森から離れ零下40度もの極寒の冬山に移動するのは風で雪が飛ばされるので餌の苔類が食べられるからとのこと、生きる為とはいえ大変な暮らしです。
トナカイの他にも監督のお気に入りのオコジョや北極狐、野兎、リス、天敵の狼やクズリなどたくさんの動物が出てきます。子供向けなのであまり残酷な捕食シーンは無いのでその点では力を抜いて見られますが、長い冬のシーンは観ているこちらも凍えそうになりますね。
去年の暮れにNHKの地球ドラマチック「赤ちゃんトナカイ 初めてのクリスマス」で赤ちゃんトナカイのホーリーモーリーが成長してそりを牽けるようになるまでのドキュメントを観ていたので本作もなんとなく気になって鑑賞。
飼育されているトナカイと違ってこちらはめちゃめちゃ過酷なサバイバル・ストーリーでした。
アイロはまだ生後5日だが、母親のそばで既に多くを学んだ
映画「アイロ 北欧ラップランドの小さなトナカイ」
(ギョーム・マイダチェフスキー監督)から。
最近、人間同士、国同士の醜い争いや
誹謗中傷合戦をテレビやネットで見聞きしているからか、
自然の中を生き抜くドキュメンタリーが新鮮に感じられた。
どうやって撮影したのだろう、という好奇心を押さえながら、
会話ではない、ナレーションに耳を傾けるとメモが増えた。
衝撃的だったのは、生まれた瞬間からの映像に合わせて、
「ここラップランドではトナカイの子は、生後5分で立ち上がり、
5分で歩きを覚え、次の5分で走り泳ぐ。生き残るためだ」と語る
ナレーションだった。
「アイロはまだ生後5日だが、母親のそばで既に多くを学んだ。
忍耐、勇気、自信・・」と続く言葉に、グッときた。
人間は、一人前(成人)になるのに、20年という歳月をかけるのに、
トナカイは、どこかの学校に通うこともせず、
ただただ、生き残るために、必死で多くのことを学ぶ。
そして、その経験こそが、彼を成長させていく。
「夏休み後の若者のように、彼の中で何かが変わり、
大人の世界がぐっと近づく。大人への憧れ」と続く、
その成長過程に、拍手を送りたくなったことを記しておきたい。
トナカイだけでなく他の動植物のことももっと知りたくなった。
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