「I AM KARATE GIRL FIGHT -100-MEN ✙ I AM KARATE MAN FIGHT -100-MEN = The Destroyer of Evil!」燃えよスーリヤ!! Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
I AM KARATE GIRL FIGHT -100-MEN ✙ I AM KARATE MAN FIGHT -100-MEN = The Destroyer of Evil!
今まで見たボリウッド映画と違って、あっさりとしたオープニング・クレジットが終わるや否や主人公のスーリアのナレーションでこの映画の幕が開けられる。
Behind every mind-blowing story.... 何かを予感させる言葉。(続き有り・略)
そして場面が変わり、スーリアは大勢の猛者の前で、ブルース・リーが来ている黄色い色に黒いストライプの線が入ったものではなく、あくまでも普通の赤いジャージに身を包み、まさに一戦を交えようとしているその時に、怖気づいたのか”引き返そうかな?”なんて後悔先に立たず的な臆病風に吹かれていたが……。その時おじいちゃんの忠告が聞こえる。
Surya......you should keep drinking water.
え~ッ、何それと思っていると.......!?
Life recap. Oh shit! I am dying of dehydration. 意識を失う、まさか死んだのか?
この映画は、一般に言われている”life review ”的映画なのかと思わせるシナリオから、時をさかのぼり、スーリアの子供時代にフラッシュバックして、彼の妄想シーンとナレーションと音楽の融合のような映画が本格的に幕を開ける。
Now I Have a Machine Gun HO-HO-HO (スウェットシャツもあります。)
話を戻すと、スーリアが患っている痛みに対する先天的無感覚症の子供は4歳までにほとんどが亡くなってしまうとドクターからの診断から、父親が怪我をしても自覚症状のない彼の身を守るために苦肉の策として、昼夜問わず、頭はヘッドギア・眼にはゴーグルといういで立ちにした父親だったけれどもスーリアの中身は"Mowgli"化をしていた。何それ?
Does he call you Bagheera? (ディズニーより)
そんな父親に対して義理の父親、つまりスーリアからするとジジイ、失礼おじいさんのアホバが義理の息子にこう諭す。”彼に本当の痛みを教えないさい。”と...その日からじいさんとスーリアの二人三脚のカンフーの特訓が始まる。あくまでもVHSビデオ映画を教科書として。その中にビデオの題名と異なる松葉杖片足格闘家マニが100人組手に挑戦している映像を収めたビデオがあった。倒されても倒されても立ち上がる、彼の激しい組手の様子に魅了され、スーリアは、マニを神とまで崇めるほど格闘家として尊敬するようになっていく。それから増々訓練に励み楽しんでいたスーリアであったけれども、そんな楽しい日々は続くわけもなく、学校では、"自分から進んで虐めてください"と言っているようなゴーグルとヘッドギアの格好をしている上に、いじめても映画で覚えた”Ouch”というだけで、それ以上は’うんともすんとも’言わない平然とした態度のスーリアに対して、いじめがエスカレートしてしまうと思われたところに勇気ある女子スプリが彼を助けるために颯爽とご登場となる。すぐに友達となった2人だったけれども別れも、同じくらい早かった。そして月日が経ち、大きくなったスーリア。
シナリオの流れとしては、簡単に言うと悪い奴を懲らしめて、最後には、母親の仇も打つことが出来るのか?という勧善懲悪ステレオタイプ映画の筋立てになっている。
映画でこんな人、初めて見るかも。松葉づえをついて戦う人で、見方が違うけれど映画「片腕ドラゴン(1972)」や熊殺しのウイリー・ウイリアムスの正拳突きを彷彿とさせる怪人格闘家マニ。いつの間にか彼の弟子になっていたスプリ。彼女は、映画「トランスポーター(2005)」でのジェイソン・ステイサムのように衣服を使ったアクションと同じ様に、この映画ではスカーフを使って見事な格闘を見せている。この何とも言えないとってつけたようなシナリオがまたいい。
本作は、ただのカンフー・コメディ映画としてだけの映画作りが成されているのではなく、例えば、ポップな物も含めて、二人の微妙な関係を描写するうえでインド独特な甘い音楽を映像に載せたり、台詞のないサウンドスケープ(音風景)だけの表現方法や、ストップモーション、スローモーションとのコラボをしたような塩梅のいいアンバランス感覚の演出が敢えてなされている。エピソードとエピソード同士をあからさまにチグハグにつないだようなシナリオの進め方などがあり、それだけを取り上げてみれば、いかにも何かおかしな映画に見えたり聞こえたりするかもしれないが、その不自然さや話がありそうでなさそうなところが、反って場面場面の融合の様なものを目の当たりにするとができる。ただあくまでも個人の意見として....。。
ブルース・リーの拳を出して威嚇するワンシーンや三船敏郎の「用心棒」の下段からの居合の有名な場面のポスターだけでなく、映画の一場面の台詞などをサラッと見せるあたり、憎い演出もなされている。確かにアクション映画としては、人が言うように長すぎる感があるし、話に入っていけない場面も散見することは否めないが、御愛嬌という事で....。
有名どころの通信社や映画情報サイトもこの映画についてコメントを寄せている。そのほんの一部「豊かで想像力に富む不条理なこの映画は、記憶に残る変人的キャラを刺激的な一連のアクション場面と大切な瞬間によって思い出として私たちに与えてくれている。」「面白くって、安っぽくって、陽気なもの。久しぶりのに本当に楽しいヒンディー語映画。」
これほどまでは、個人的には好感ははっきり言って持っていない映画と言えるが、それでも多くの一般の視聴者からも支持されているので、決して悪い映画とは言う事が出来ない。