光を追いかけてのレビュー・感想・評価
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出演陣の魅力、秋田の田園風景。見所多いが、もどかしさも
Huluの「息をひそめて」で気になっていた長澤樹がヒロイン・真希役で堂々の初主演。個性的な顔立ちの美少女で演技力も確かなので、活躍の場が今後ますます広がるだろう。「閉校祭」実行委員・沙也加役の中島セナも同級生にきつい物言いをする責任感の強い生徒をうまく演じていたが、彼女の違う表情ももっと見たいと感じた。柳葉敏郎と生駒里奈は、さすが秋田出身だけあって方言の台詞に味があり、人物造形に深みが増している。
秋田県井川町でのロケ撮影は2019年9月に行われ、収穫前で一面黄金色の稲田をドローンによる空撮も駆使して見事にとらえた。特に、傾いた陽を受けて輝く稲穂を背景に収めたシーンなどは、ドラマの情緒的な流れを効果的に盛り上げている。
CMディレクターとして活躍し、本作が映画初監督となる成田洋一も秋田出身だそう。共同で脚本も手がけ、単に美しい背景として秋田の要素を使うだけでなく、過疎化と産業の斜陽化、廃校といった地方の課題と、少子化、いじめ、不登校、SNSの悪用といった今の日本に共通する問題を盛り込んだ。
中学3年の級友たちが閉校祭というイベントの準備に取り組む様子、UFOの目撃、そして主人公・彰と真希の出会いと心の交流が映画を牽引する3つの筋になるが、これらの絡み合いが深まっていきそうで、そうならないのがもどかしい。トピックを多く盛り込んだのはいいが、それぞれの化学反応が表層にとどまり、映画のテーマが散逸的であいまいになってしまったというか。俳優のアップでも背景込みの構図でも、印象的なショットを撮ることに長けた監督なので、次作でドラマ要素を強化してさらなる飛躍を期待したい。
秋田の美しい風景と過疎化
父の故郷の秋田の田舎に引っ越してきた中学生の彰は転校先になじめなかった。そんなある日、空で緑の光を目撃し、田んぼのミステリーサークルにたどり着いた。そこで不登校のクラスメイトの真希と出会い、2人は親しくなっていった。
彰と友達になりたい田村が真希に嫉妬しミステリーサークルの事をネットに書き込み、騒動となり、真希が切れて・・・てな話。
思春期の生徒の悩みや未熟さ、そして大人達の現実的な悩みや葛藤を描いてて良かった。
秋田の田園、桜、山、空、海などドローンによる風景の美しさに感動した。
彰役の中川翼があまり話さないけど表情豊かで魅力的だった。真希役の長澤樹は不思議な魅力が有る美少女だった。村上役の中島セナも良かった。
教師役の生駒里奈はさっぱりで冴えなかった。
こころとく
現実は厳しく、もっと残酷でハッピーエンドではない。
そんなことは分かってる。
イジメに耐える子も、親の理不尽に振り回される子も、生きるために必死な大人も。
誰もがこの映画のようにハッピーエンドを迎えることはできない。
それでも、光を追いかけて、いつか自身が光になり誰かを照らせるように。
という監督の思いが伝わります。
なにより、若さが尊い。
誰もが持っていた思春期の輝きが
とても眩しくてとてもみずみずしくてとても懐かしく羨ましく降り注がれます。
映像が綺麗
とにかく映像が綺麗。
なにげない景色ひとつひとつが、こんなにも魅力的なんだと思い知らされた。
若い役者さんたちが輝いていた。
観た後に、心がすーっと気持ち良くなった。
エンディングの歌も映画にぴったりで、素敵だった。
秋田県出身者の意見です
私は秋田県出身です。
そして本作は秋田県出身の監督が秋田県出身俳優を多数起用し秋田県を舞台にして全編秋田でロケを行なった映画です。
これは秋田県出身の私がレビューしないとと息巻いて、先日鑑賞してきました。
映画の事前知識はほぼありません。「秋田が舞台」って程度の事前知識です。
結論ですが、けっこう楽しめました。
本作は様々な登場人物の感情が入り乱れる群像劇であり、それぞれの登場人物の考え方や立場が違うからこそ生じる軋轢や葛藤がしっかり描かれていたと思います。鑑賞前に懸念していた「秋田県出身者以外の演者の方言演技が気になっちゃうんじゃないか」という問題ですが、多少イントネーションなどに引っかかりはありましたがそんなに気になりませんでした。エンディングのクレジットに「方言指導」などの役職は多分無かったので、おそらく秋田県出身者である成田監督や柳葉敏郎さんが秋田県出身でない演者さんへの方言指導も兼ねていたんじゃないかと思います。柳葉さんはガッツリ方言で喋っているシーンも何か所かあって、「これって他県の人はちゃんと聞き取れるんだろうか」って思う場面もあって気になりました。県外の方の意見も聞いてみたいですね。
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父の仕事の関係で、東京から父の故郷である秋田県に引っ越してきた中学三年生の中島彰(中川翼)。田舎の学校に馴染むことができず、中学校の閉校祭の準備にも参加せずに一人で趣味のイラストに没頭していた。そんなある日、彰は下校中に緑色に光る謎の飛行物体を目撃する。その物体を追いかけた先の水田にたどりついた彰は、謎のミステリーサークルと、クラスメイトで不登校の少女である岡本真希(長澤樹)に出会った。
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田舎に住む人たちの、都会に対する羨望であるとか、コンプレックスみたいなものをよく描けていました。都会に憧れるが田舎に燻る人・都会で夢破れて田舎で居場所を見つけた人・田舎を愛し留まる人などなど、多くの人の感情が交錯するストーリーで結構良かったですね。秋田県を舞台にしていますが、他の地方に住んでいる方にも刺さる「田舎と都会」の物語になっていたと思います。
あと、若い役者陣の演技は見事だったと思います。主人公の彰を演じた中川翼さんやヒロインの真希を演じた長澤樹さんは、どちらも2005年生まれの15歳。公式HPによると撮影は2019年9月に行われたそうですので、当時は二人とも13歳ですね。とても13歳とは思えない見事な演技でした。特にヒロインを演じた長澤樹さんは13歳とは思えないほどの大人びた魅力を持った素晴らしい演技でした。今後の映画界を牽引する役者になることは間違いありませんね。
ただ、不満点は少なからずあります。
他のレビュアーさんでも仰っている方がいますが、柳葉敏郎さんの演技が『踊る大捜査線』のような大仰な演技をしているのが気になりました。他の演者さんたちが比較的自然な演技をしているのに、一人だけ大仰な演技をしているとかなり目立ちます。もしかしたら監督も大御所の柳葉さんの演技に口出しできなかったのかもしれないと勘ぐってしまいますが、それは映画監督としても良くない姿勢ですし、柳葉さんにも失礼に当たる気がします。
あと、登場人物が結構多かったせいか、全部のキャラクターを描き切れていないようにも感じました。具体的に言えば生駒里奈演じる中学教師が抱えていた田舎コンプレックスのようなものが結局解決したんだかよくわからないエンディングになっていたように感じて、何だか中途半端なように感じました。
上記のような若干の不満点はありましたが、私の地元秋田県を舞台に映画を作ってくれたというだけでもありがたいので、是非多くの方に見ていただきたい映画になっていました。お勧めです。
邦画の次を行くようなバランス感覚、都会では写らない田舎が見えてくる
言葉では形容しがたい強い衝撃を覚えた傑作。秋田という土地柄に透けて見えるリアルと喪失、そこに伴う生の声がハウリングする様な怪作。
都会のボーイミーツガールであれば、多少の波乱もすんなりも吸収してしまう空気がはびこっている。しかし、秋田という自然豊かで美しい田舎を舞台にしてもこのような世界が成り立つとは。ハッとさせられて、その土地に響き渡る生の声がそのまま投下されたような映画だった。
というのも、この作品のキーとなるのは「田舎」なのである。主人公は父の故郷として秋田に引っ越しており、言わば「街の外から来た人」なのだ。そんな彼を不思議な女の子と結び付けるのは、UFOという大胆さ。非現実が落とし込まれたことによる混乱と、そこで浮き彫りになる現実が心を抉る。そして、何よりその空気をありありと逃さずに捉え抜く演出力が素晴らしい。中学生であるが故の不純で制御が難しい感情をむき出しにするパワーも強くてしなやか。そこが一番大きいと思う。
それでいて、柳葉敏郎に生駒里奈、駿河太郎といった大人による均衡が取れているので、まとまって見える。都会では感じることのない痛みを乗りこなす、そんな術を知っているかのような格の違いも感じる。その一方で中川翼、長澤樹、中島セナといったティーンの俳優たちも心強い演技が魅力的だった。そうした個々の引き立ちも1つの作品の持ち味と言える。
このような怪作が話題にならないなんて勿体ない。とは言え、自分も駆け込みで観た側であるのでなんとも言えないが…。邦画の素晴らしさを再確認すると共に、土地柄を生かして作り上げた点からも日本の良さが滲ませればもっと鋭いものが生まれるとつくづく感じた。
へばな
秋田の田んぼが広がる田舎町。
過疎化が進み、町の中学校は閉校が決まっている。
父親の地元に引っ越してきて以来、あまり周りに馴染めない彰は、得意の絵を生かし閉校祭を通じてクラスに溶け込んでいく。
ある日、空に謎の緑の光を見た彰は、田んぼの中のミステリーサークルに吸い寄せられるようにたどり着き、不登校の少女・真希と出会う。
リリィ・シュシュっぽいと評判が良かったため鑑賞。
とても不思議な作品。
確かに構図はリリィ・シュシュと符合する部分もあるが、過疎化する地方においての青春映画だった。
田舎の閉鎖的コミュニティで四方八方に飛び交う棘。
団結しているようで皆が個々で独立した孤独な暗い世界。
そんな昼間の暗闇に現れた謎の光が彼らを導いていく。
幸せになった瞬間訪れる表裏一体な苦しみ。
結局光が何だったのかは分からないけれど、あの光は希望だったのだと思いたい。
地元に残る者、離れる者、やって来る者。
町は変わるけれど、昔から変わらないところもある。
田舎ゆえの良さと悪さ。
町にやってきたエイリアンは、町からはみ出たエイリアンと出会い、周りを変え自分も変わった。
未成長のエイリアンたちは、きっとこの後少しずつ自分の星を見つけていくのだろう。
若手キャストが瑞々しくも神秘的で美しい。
中学生たちの未熟な演技と一部の中学生らしからぬ大人びた感じが介在していて良い。
無からの有が素晴らしい中川翼、神がかった存在だが笑うととても可愛い長澤樹、鋭い眼力と圧倒的存在感にこちらが吸い込まれそうな中島セナ。
駿河太郎、小野塚勇人、生駒里奈など脇を固める役者も良い。
個人的ベストアクトは柳葉敏郎。ご本人も秋田出身だし、実際にこういう人絶対いる。
監督はCM監督の方らしく、ドローンでの撮影などとても凝っている。
何気ない風景が宝物に見える映像美も流石。
ドローンの無人爆撃とかしてる人に見せてやりたいわ。
地域活性化を狙った映画だけあって、ババベラアイスやきりたんぽなど、やや押し付けがましいところもあり。
ただ地方映画あるあるで、めちゃくちゃその土地に行きたくなる。
上映館少ないけれど是非観て欲しい。
果たして貴方は中島セナが中川翼を中島くんと呼ぶ矛盾に耐えることができるのか。
高レビューが多いが、星4までは至らず。。。 思ってたのと違うという...
高レビューが多いが、星4までは至らず。。。
思ってたのと違うという印象だが、空気感や映像が綺麗で、
最後も良い感じで盛り上がって良かった。
ただ、方言の部分や、脚本のところで少し?があって、
ちょっと残念だった部分もあった。
ヒューマンドラマということで過疎化の進む秋田を描き、閉校の迫った...
ヒューマンドラマということで過疎化の進む秋田を描き、閉校の迫った中学校の3年生の生徒を中心に物語が進んいく。
気になった点がある。いたずらといじめ、教師側の対応の問題と取り上げ方だ。
いじめではないかという生徒の指摘があり、不登校も抱えている担任に対し、学校全体の問題として取り上げず、担任ひとりの問題にしてしまっていること。単なるいたずらに見えるが、してはならない行為に対して、対応していない。
一方、いらずら(いじめ)をされた方の生徒は、そのことがきっかけで、別の、よりしてはならない行為に進んでしまう。
教師たちは、一杯やりながら、なんだかんだと言いながら、ぎりぎりのところで踏ん張っていると自己肯定してしまう。
終盤で、した方の生徒は、「自分で…」とかっこいいことを言い、それで、してはならなかった行為を帳消しにしてしまうが、された生徒に自分がすることを強制している。この流れでは、問題提起にも、解決にもなっていない。
ネタバレしないように、映画を観ないとわからないように書いています。ここからはストーリーから離れます。
将来、この物語の生徒たちは、秋田県の2040年人口半減問題に直面することになるだろう。今度は、閉校どころか、秋田県の消滅にもなりかねない。この映画では、今の大人たちは現状肯定するか、否定したとしても、今の状況は自分たちではどうしようもないと言っているように終わっている。その頃には、働き盛りになって生徒たちが今の大人たちと同じようなことを言うようになるのか、自分たちで何とかしようとするのか。また、いたずら(いじめ)をした生徒は反省なく大人になるのか。された生徒は心理的な負債を解消できるのか。
エンディングに秋田県教育委員会の文字があったが、この映画をどのように見ているのだろうか。
昔見た風景が懐かしい。秋田弁わがるべが❓
私が子供の頃に見てきたことが満載の映画でした。柳葉敏郎の演技最高でしたね。
子供にとって、生きていくことの意味を教えてくれる、格好いいおじさんがいたら素敵です。生きているものを食うということ、そして閉校祭(私も最後の卒業生だった、、、)子供達の複雑な心境と感情が見事に描かれている。そして都会に出ていく若者たちもいる中で、誰かがやらねばと故郷で四苦八苦する大人たちがいい感じで表現されている。タイトルの光を追いかけての光とはなんでしょう。単純に未来は明るいものであってほしい。映画の主題歌も絶妙に良かったです。
解決しないのが解決策
先に鑑賞した何人かが「何にも解決しなくてちょっとモヤモヤするけどね」と笑いながら、「まあいい映画だよ」と教えてくれた。
確かに大手映画産業が手掛ければ、ちょっとした何か(例えば彰の画才)がきっかけになり、町が都合良く復興、閉校プランはギリギリで撤回、みんなハッピーな宴、というエンディングだろう。UFOはどうなるか知らんが。
現実はどこにも都合の良い話などなく、地方は衰退し、大人も子どもも夢や希望を語る余裕がない。何かを変えたくても「失敗した時は自己責任だからね」と機先を制され足踏みする。
生駒里奈演じる教師が「できることからやろうよ」と言い、柳葉敏郎演じる廃業間近の農業経営者が「ひさしぶりに本気出してみるか」と言い、何も解決していないのに、一筋の光を見出したようにして映画が終わるのは、だから仕方のないことなのだ。
ただ、それでいいとも思う。
経済的な側面だけの興亡など、これまで嫌というほど見てきた。たぶん多くの人たちが、刹那的に羽振りが良くなったかと思えば、虚栄を塗り重ね続けて疲弊したり、謙虚さを失って世間の片隅に追いやられたりしたたくさんの先例にうんざりしているんじゃないか。
ありきたりの人生かもしれないけれど、小さな一歩を踏み出して、少しだけ何かを変えてみることが、結果として何も生み出さなかったとしても、心の中に僅かに光が差すこともある。
生駒と柳葉のラストシーンでの表情は、そんなことを伝えているような気がした。
二人ともロケ地秋田の出身である。同郷の監督が、同郷の俳優に敬意を表して、与えた役柄とセリフだろう。
安易な解決策に振り回されず、地に足のついたエンディングとはこういうことを言うのだと思う。だから「いい映画だよという結論に納得するしかなかった。
余談だが、主演の長澤樹の唄は、ちょっとばかり驚いた。本編最大の意外なアクセントになっている。目力もあり、素敵な俳優に成長することを期待したい。
綺麗な景色の中に
過疎の町に繰り広げられる、廃校となる中学校に関わる人々の心の動きを地元の言葉を使い、より感情の入ったものとなった映画で私は好きです。大人社会にもある、いじめ、嫉妬、誤解、友情、愛情等、中学時代の思春期真っ只中の中に表現されていたと感じました。心に沁みています。そしてロケ地の景色を綺麗に映しだしていたと思います。そしてエンディングロールでは清々しい映像と歌声がフルーツデザートのように感じ、観て良かったと感じました。家族で観るのも良いな~と思います。
9日、2度目の鑑賞。笑顔の大切さを感じました。
そして柳葉さんの演技、最高です。
【希望】
これは、秋田の農村部だけではなく、現在、日本の地方にはありがちな風景なのだろう。
都市部への集中、少子高齢化で人口は減り、働き手や地域の担い手が不足しているのだ。
花卉の栽培を巡る秀雄とのやり取りがあるが、多くの昔ながら農家は、新しいことを手掛けることを敬遠する傾向が高い。
もし地方行政に権限が付与されたり、アイディアがあれば、農家を含めて地方の人々と連携し、新たな取り組みなど出来るだろうが、様々なことが中央政府に依存していて、更に「ふるさと納税」なるものの登場で、返戻品のためのサービス業的な取り組みは増えても、農業支援や新しい産業・事業への取り組みは変わらずか、減っているのが現状だ。発展の機会が失われているのだ。それまで人々の生活を支えてきたガソリンスタンドだって疲弊するだろうし、労働意欲だって上がるはずがない。
そして、教育の機会の減少。
学校教育は、友人を作るとう人間関係の構築とか、共同で何かをすることを学ぶ場所でもあるはずだ。
秋田は、全国テストでは、47都道府県で常にトップ争いをしているようだが、そうした子供の多くが最終的に中央を目指してしまう環境は、自治体としても国としても改善を考えなくてはならない課題だと思う。
自由民主党が掲げる「地方創生」はいつも絵に描いた餅だ。
これで良いと考えている地方の人々もかなりいる。
何かチャレンジするような土壌にあるのか。
今一度、真剣に考える必要があるように考える。
この作品のストーリーのなかで、自ら描くことになった自身の似顔絵は、自分自身の可能性を考えてみようという若者へのメッセージでもあると当時に、自分自身を見つめなおせと言いう大人たちへの皮肉のようにも感じる。
光やミステリーサークルは、ちょっと怖いけど、若者が興味を惹かれるようなものだ。
何か新しいことをしたりするのに、怖さがともなうのは当たり前だ。
それを妨げるのではなく、大人も、仮に用心しながらでも、ちょっと覗いてみたら良いのだ。
花卉の栽培もそうじゃないか。
そうした大人の背中を見て子供たちが成長したりもするのだ。
大人も若者も希望を見出せる社会であって欲しいと思う。
僕は東北出身なので加点。
やわらかに輝く
一見のんびりに見えてその実 複雑に絡み合う田舎の軋轢
食えない人は出てくしか無い 今も昔も
なかなか帰れない故郷の空をスクリーンで眺めておもう
見せない事による効果が絶妙で小さな話がよりドラマチックになり得ている
屋根の上の民謡の一節に感涙 美しいシーンでした
新たな青春映画が生まれた
この映画は「青春映画」というカテゴリーに入るものだと思う。時代の違い、社会的背景の違い、地域や所属する集団の違いによって様々な青春群像がありうるので内容は千差万別であるが、自立する手前の未完成な人格に降り注ぐ様々な困難のなかで、戸惑いや苦悩や希望を描いている作品である。
事前に映画ドットコムで評価を見たのであるが、目立たない作品の割には高評価だったので期待を抱いて見に行った。結果は評価通りだったと言える。舞台は秋田の農村。金銭問題で落ち着かない家庭環境にあって不登校になってしまった真希と親の離婚で東京から親の実家に転居した彰が出会う。そして、UFOを見た共通の経験から互いに打ち解けていく。UFOは真希にとって唯一の逃げ場所だったのかもしれないし、彰にとっても慣れない土地と学校への不安からの逃げ場所だったのかもしれない。
二人が通う(べき)中学校は閉校になることが決まっており、生徒たちに不安が広がる。担任の女性教師は教師に自信が持てず悩んでいる。そして、農民は農業の行く末を案じている。テーマは、衰退する地域に住む人たちの不安の共有と再生への祈りの様な感情の共有ではないだろうか。特に若者に焦点が当たっているところが、青春映画と呼べる要素である。
最後は、不登校だった真希があるきっかけがあって教室に戻り、女教師も合流しクラス全員が集合する。ひと悶着あるが互いの気持ちが通い合って閉校を迎えることになる。彰が教室を出ていこうとする真希に向かって「逃げるな」と叫ぶが、ここが印象的にはやや意外なセリフで、主人公はずいぶん強くなったなあと思わせる。そうしないと最後の結末にしまりがなくなってしまうので、このような展開はやむをえないと思う。これこそが青春映画のよいところかもしれない。
渦巻く青春の光と影とミステリーサークルと。
過疎化が進む秋田のとある町。間もなく閉校になる中学校。最近転校してきた彰はクラスに馴染めずにいる。学校最後のイベント閉校祭を成功させるため準備に忙しい実行委員会達。よそ者の彰が入る余地はない。一方、家庭に問題を抱え不登校継続中の真希。いつも屋根の上から黄金に光る稲穂を物憂げに眺めている。
忽然と現れた緑色の光に導かれミステリーサークルで出会う彰と真希。共鳴する2人。自分達ではどうしようもない形で大切なものが失われてしまうという喪失感。不安や孤独から誰もが逃げ出したい。でもギリギリのところで踏ん張っている。少年少女達が痛々しくもあり逞しくもあった。
去って行く人。帰って来た人。ここで生きてゆくしかない人。彰の父と担任の先生との対比が実に上手かった。ぶつかり合い、許し合い、みんなで見た窓の外の光。すぐに大人になってしまう若者達の視線の先のそれが、やっぱり未来や希望だったらいいなと心から思った。
閉校祭をそう締め括るのかという構成。自画像の笑顔に想像が膨らむ。参りました。若い役者さんが一様に瑞々しくて素晴らしかった。真希の民謡も美しかったし、主題歌も良かった。エンドロールに乗せて自転車で疾走する彰。きっとまだ光を追いかけて。
We're waiting for the UFO
正直あまり期待してなかったが、思ってたより良かった。
抑えた色と薄っぺらいフォーカスとクローズアップとドローン、、、、良いバランスでかっこよかった。
若い子達も柳葉氏に比べるとまだまだだけど、煌めく個性と伸びしろを感じさせるし、上手くスタッフが切り取ってると思う。
過疎化する田舎のリアルは掘ればいくらでも重くなっただろうと予想され、そういう意味でUFOは必要なファンタジー要素だったかも知れない。
しかしバラバラだった教室を一つにまとめるにはいささか強引だったとは思う。
その辺に郷土愛か、お金の出どころか、広告屋のハッピーエンドで終わらねばならない習性がちらつき、着地を甘くした感がある。
もう少し突き放してたらもっと刺さったかも。
過疎化する町の課題。子どもたちがそれぞれに抱える『秘密』。廃校。稲穂。ミステリーサークル。秋田弁。
公開日が近かったので、どうしても某県の過疎地域の映画館を舞台にした某映画と比べてしまうのですが…。
いや、本当は比べちゃいけないのは分かってる。分かってるんだけど…すまん。本当にすまん、タナ〇監督。この映画はあまりに秋田。素晴らしく秋田。もう柳葉敏郎氏を起用している時点で完璧(言い過ぎ)。こういう感じの郷土愛に溢れた映画が観たかったのですよ。
《素晴らしかった点》
・秋田弁全開…なお、主人公は東京人⇒秋田人になった少年だが、秋田弁が分からずに同級生が通訳してくれる場面あり
・小麦色の稲穂全開…超映える。
・柳葉敏郎氏の起用…すみません、そこご実家ですか。
・過疎化する町の課題のリアル…『居残り組』『出戻り組』の間に発生する溝。人がいないので経済が回らず、借金に頭を抱える店。
・農業のリアル…儲からない。
《悪かった点》
一瞬だけ学芸会っぽい場面があった点。
まあ、これは展開上仕方ないかもしれん。
一見、岩井俊二監督のリリィ・シュシュのすべてのような作品かなと思いましたが、もっと明るい(だが社会派)な映画でした。醸し出す空気は若干似ているような。
周囲の大人たちに囲まれているように見えて、実はそれぞれに思っていることや孤独を抱えている子ども達の心境が垣間見えて、非常に面白い作品でした。
キャストについても、主人公役の中川翼氏、ヒロイン役の長澤樹氏ともにその役のためにそこにいるかのような、瑞々しく素晴らしい人選だったと思います。
俺は逃げない。だから、真希も逃げんな。
いやあ侮ってました。なんですか、この子供たちの瑞々しさは。時にハッとさせられる驚きは。そして、秋田が嫌いと秋田が好きがぐるぐるとこんがらがっている、地元愛は。
スレたりグレたりするほど熱いものを持っているわけでもなく、ただ惰性のように親と一緒に秋田にやってきた彰。同年代とは話も合わずに孤立している真希。ふたりは惹かれ合った、というよりは、共鳴か。
ファンタジー要素もありながら、その正体をスクリーンで見せない巧妙さ。観客は、真希たちの視線の先を信じるしかない。本当か?という疑問は、大人たちも同様に見ていることでようやく納得する。
そこで思う。観客である俺たち(つまり世間一般の大人たち)は、何人の子供が言っても信じることができないことも、複数の大人がそれは事実だと言えばすぐに認めてしまっていないか?と。それは、日常でもそうじゃないか?と。真希は、そんな大人たちや、同じようにクラスメートたちに、失望したのか自ら敬遠したのか離れてしまったのだなあ。クラスメートとの確執の元は、親の負債がらみの世間の冷たさも起因してるだろう。子供はけっこう残酷だから。それに拍車をかけて、歌を歌わなくなった両親を見、おざなりに接してくる担任教師や容赦なく取り立てる債権者たちを見、そんな大人たちに囲まれた生活に息苦しくなり、すこしでも澄んだ空気を吸うかのように、屋根に上っているのかなあ。そういう下世話なフィルターなしで自分を見てくれる彰に心許すのは、当然だわな。
そして改めて子供たちの演技。やっかみがいる。ひねくれもいる。ちょっとのズルや怠けさえも許さない潔癖(ポカリの子だね)もいる。どうでもよく流されやすいのもいる。むしろそのほうが大勢だ。そいつらが、空中分解して飛び散ってしまうかと思えたそいつらが、一つのことをきっかけに、まるで突風が全部巻き込んで勢力を増して一気に何かに向かうような、そんな一体感を見せつけてきた。なのより、そいつら、いや、彼らの表情の真剣で柔らかで清らかなことったらなかった。まいった。窓の外を見るひとりひとりの顔が、キラキラしたいい顔をしていた。
でも、どのいいシーンよりも一番ハッと驚かされたのは、急に真希が歌いだしたとこ。ポロっと涙が出ましたよ。追いかける光は、べたに言えば君たちの未来。ぼやけているのものを真実にするのは、君たち次第。
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