「漢(マ・ドンソク)伝」悪人伝 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
漢(マ・ドンソク)伝
兄貴。漢。
昨今、その言葉に相応しい人物が乏しくなって久しい。
…いや、突出した人物が居る。お隣の韓国に。
マ・ドンソク。
本作は、彼の漢気魅力が100%たっぷりと濃縮された、さながら“マ・ドンソク・ムービー”である。
敢えてマ・ドンソクではなく“兄貴”と呼ばせて貰う。
兄貴が演じるのは、ヤクザの組長ドンス。
初登場シーンで丸太のような太い腕でサンドバッグを叩き身体を鍛えているかと思いきや、その中には人が…!
極悪過ぎでしょ…((( ;゚Д゚)))
でも、子分や一般人には情を見せる一面も。
兄貴が実際はヤクザな人物ではないけれど(当たり前だ!)、本当にハマり役。言うまでもなく、腕っぷしも強く、アクション・シーンもド迫力!
が、ある雨の夜…
ドンスの車と相手の車の軽い衝突事故。
突然背後からめった刺しにされ、重体になるも、奇跡的に一命をとりとめる。
刺した相手は、巷を震え上がらせている連続殺人犯であった。
その殺人犯を不良刑事のチョンも追っていた…。
標的は無差別サイコキラー。
警察の威信を懸けて逮捕したいチョン。
子分を使った警察以上の捜査力で、自分の手で始末したいドンス。
一応目的は同じ。仕方なく共闘。
が、先に見つけたら、捕まえたら…
法の裁きか、殺すか。
ヤクザの組長と刑事が手を組むであり、ヤクザの組長vs刑事でもある。
ユーモアとシリアスのバランスも絶妙で、快テンポ。あっという間の110分。
アクションやバイオレンスの迫力や痛々しさはさすが韓国映画!
話も至ってシンプル!…と思っていたら、兄貴の腕のような骨太な作品になっていく。
ヤクザ組長&刑事vsサイコキラーだけでなく、敵対ヤクザ組織との抗争、警察内部の複雑な事情、さらにドンスとチョンより前に警察とヤクザの繋がり…この機を利用して消そうとしたり、出し抜こうとしたり。
チョン視点からの捜査サスペンスとしても見応えあり。いや、ズバリ、ここから犯人に辿り着いたと言っていい。
ドンスは漢だが、チョンもなかなか熱い。
いよいよクライマックス近し。
警察/ヤクザ一緒になっての犯人捜し。(尚、映画だから面白いのであって、現実だったら大問題!)
犯人が潜伏している小さな町。狭い路地裏、小汚ない店をしらみ潰しに捜す。ハラハラドキドキスリリング、緊迫緊張の時…。
そして、遂に…!
犯人を捕まえたのは…!?
ラストは犯人の裁判。
犯人は不敵で決定的な証拠も無く、法を縦にする。
証人として現れた人物の身体を張った証拠もあり、犯人は刑務所へ。
しかしそれでは、ドンスは復讐出来ない。
犯人へは法の裁き。
…が、ドンスは思わぬ手段を厭わぬ方法で!
表向きは法や警察の面子を保ち、裏では二人の漢が取引。
俺は俺のやり方でケリを付ける!
とにかくこのラストが激しいほど怒涛の展開で、法の事も含め私の頭ではついていくのはやっとだった。
でも、ラストシーンの兄貴の姿と台詞にメチャ興奮しびれた~!
邦画だったら往年の『仁義なき戦い』『県警対組織暴力』、近年だったら『孤狼の血』を彷彿。
本格派のヤクザ・ムービー。
安定の韓国バイオレンス・アクション。『チェイサー』や『新しき世界』を見た時の興奮を思い出した。
エンタメ性も抜群。
そして、兄貴。漢。マ・ドンソク映画なのである。
そしてそして、兄貴マ・ドンソクで、レビュー3000本目!\(^^)/