フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のレビュー・感想・評価
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細部まで全部見たくなる
ウェスアンダーソン監督の映画は、いつも細部まで細かく作られていて、なのにごちゃごちゃしていなくて、すごく素敵。字幕と映像と目がいくつあっても足らない。内容としては、短編集のようなかんじで、様々な世界を垣間見つつ、けどつながっていて、パッチワークみたいで。それにあの世界観にいても、違和感のない俳優陣が本当に素晴らしい。ほんと贅沢だ。
フレンチ・ドレッシング
こういうガジェット満載な作品は本来大好きなのだが、今回はテーマが雑誌ということもあって、あまりにとりとめがない印象。何の脈絡もなくモノクロになったりアニメになったり、登場人物も次から次に出てきて、混沌の極み。ロケーションは現実の街並みというよりは、ドールハウスか田中達也のミニチュアみたいで、その中で人形たちが右往左往している。
ガジェットを散りばめてくると言えば、「アメリ」や「天才スピヴェット」のジャン=ピエール・ジュネ監督がいるが、此方最近のウェス・アンダーソンはさすがに悪ふざけが過ぎるというか、ちょっと食傷気味。物語とガジェットが主客転倒している感もある。
フレンチ・ドレッシングは油と酢が分離しているので、よく振って混ぜて乳化しないとおいしくならないようで。
映像は凄いがストーリーはダイジェスト!?
噂通りの映像美は劇場で観る価値十分だけど、肝心のストーリーがダイジェスト的でとても眠くなる…
まぁ寝た所でダイジェストなコマ切れ話だから全部観る必要も無いとは思うけど、でも仮に目も頭も冴えててシッカリ最初から最後まで観たとして、それはどんな印象なんだろうか!?(多少寝た方が面白く感じたりなんかして…😅)
動く絵画展(詩的な物語付)
冒頭から画面に違和感がある映画だった。舞台のセットのような、作り物の世界。どこか二次元的な印象も受ける。「動く絵画展」とでも言えばいいのだろうか。そこに詩的な物語が附録でついてくる感じ。カラーとモノクロの使い分けもなんかアートっぽさを醸し出していた。
でも、雰囲気や絵面だけでなくて、それぞれの話もなんか面白かった。アートっぽい感じの映画はあまり得意ではないので少し心配していたが全くの杞憂に終わった。
そして意外なほどにキャストが豪華。おぉ、こんな人も出てるのか!なんて軽く驚きながら楽しんだ。小説の短編集が好きなのだが、映画のオムニバスってあまり多くない。そして面白い短編集も多くない気がする。それって出演者が多くなるからなのかもしれない。そういう意味では貴重な映画だった。
うとうとしながら観るのも幸せ
「グランド・ブダペスト・ホテル」が面白かったんで、今作も観に。
オシャレですべての映像が絵本のように可愛くてキッチュ。
ストーリーも各章に分かれているので、その分観やすいけれど…
ずっと「何の話?」って感じなんで、途中退屈で眠くなる人もいるかも。
まあ、人に迷惑かけなければうとうとしながら観るのも幸せ。
既視感のある架空の街と時代にワープしてクスリと笑う。
一目で引き込まれるロケーション、色彩、振る舞い、全てのシーンがポスターのよう。豪華キャストなんだけど、役者皆が完全にその世界の住人となっていている空気感は見事です。つまり雑誌紙面上に焼き付けられたコンテンツを動画で見せることに成功していると言うことかな。終いにはフレンチカトゥーンの世界にまで突入して、、、。
もったいなかったけど心地よくて途中ちょっと寝落ちしました。
なんと言うか、少しでも自分の私生活のシーンもスタイリッシュでありたいと思ったりしました。
ウェスを浴びる映画
圧倒的な情報量、展開、色彩、美術、衣装、キャスト。字幕を追おうとすると、映像についていけず、映像を見ていると字幕を追えないこのジレンマ。そして気づく。あぁそうか、この映画を理解しようとしているのが間違っているんだと。例えるなら、美術館で絵画をみて「こういうことかな」と予想をつけるも、横に書いてある解説と全く違ったときのように、自分なりの楽しみ方を見つけて楽しむことができる映画。だからこそ「ウェス・アンダーソン監督、頼むから映画館で一時停止させてくれ」と言いたくなる情報量に圧倒され、頑張ってついていこうとすると、鑑賞後にはルーブル美術館を1日かけて回ったような疲れが襲う。それでも、なんだか悪い気がしないのは、レア・セドゥの魅力と、見ているだけで楽しいウェスワールドに浸れるからだろう。
ウェス・アンダーソンの世界観が合うか、合わないか
面白いのか?面白くないのか?以前にウェス・アンダーソンの世界観が合うか?合わないか?で印象や評価が変わる映画だと思う。個人的にはイマイチ合わなかったが…面白くない訳じゃないんだけどね。オムニバスなので章ごとに登場人物が変わる&登場人物が多い上に情報量が多いのでストーリーを理解するのにかなり苦労するし、字幕の文字数も多いので字幕を追うのに必死になるし、フランス語のシーンも多くて画面上に英語と日本語の字幕が同時に存在する…という状態なので吹き替えで観た方がストーリーは理解しやすいのかもしれない。そもそも吹き替え版が上映されてる作品なのか分からないけど…
デルトロとレアセドゥ
映画を雑誌作りになぞらえ「記事」を「エピソード」として次々に見せていく構成が既に秀逸な発明。もちろんウェスアンダーソン作品としての期待を裏切らない豪華キャスト、完璧な構図、惹きつけられるセットが楽しめる。
特筆すべきはデルトロとレアセドゥのエピソード。永遠に見ていたくなるような世界観だった。これだけでも十分に見る価値がある。
アンニュイとユーモアの脱力文学
中毒性のあるウェス・アンダーソンの世界感ですが、もてはやされ過ぎる不幸、なんての感じてしまうってのがあってですね。配給がディズニーなんですね。なんか、ビッグビジネスとは無縁でダラダラしながら好きものの世界に浸りきって、でれーっとした映画を撮り続けて欲しいもんですが。「天才」の呼称とか、「ディズニー」とか、実は違うんじゃないかと思うのでした。
で。
話は出鱈目です。フランス奇譚です。
超豪華キャストです。
リア・セデゥーとか全裸です。所謂すっぽんぽん。どう所謂か分からんけど。
マクドーマンはショタコン。よってティモシー・シャラメが金田正太郎君って事になります。史上最高のおねしょたです。
シアーシャ・ローナンなんて死体になるために出てきたようなもんです。
エドワード・ノートンとか半分アニメ。
と言うか、そのアニメ部分は、日本に任せて欲しかったぁ、って一瞬思った。
その他、みんなダラダラしてます。テンション高いのはリナ・クードリだけ。
取りあえず、力抜けたし、ダラダラしたし。
劇場ガラガラで拍子抜けもしたw
ただいま広島ケンミンは「アカデミー賞ノミネート作品」に群がっている様で、その他の作品はガランガランですw
この3日間で9本目。一か月以上、劇場鑑賞を自粛してたもんですから、見なきゃいかんと思ってた映画が溜まってました。クライ・マッチョは見逃しました。イタイ。痛すぎる。。。。
9本見ても、見たい映画はまだ半分以上残ってます。次の週末で取り戻せるか微妙です。
と言う状況の中、絶対見たかったフレンチ・ディスパッチで今週は締めにございます。久しぶりの連荘、疲れたけど気持ち良いですw
グラフィックをやっている人には必見
文字のレイアウト、画角、色のコントラスト、このセンスはすごく好きな世界観。
映像になった雑誌というべきか、あえての2次元の美しさが際立つ。
日々、目に入るもので、その人の美意識とかセンスは生み出されるように思う。
パリには、パリの、イタリアにはイタリアの、北欧には北欧の独特な色合わせがあって、
それは、日本にもあるのだけれど、その世界を意識して目に入れていかないと、感覚がずれていくような気がする。
ミシェル・ドラクロアの版画が好きなのだが、この映画もあのちまちました可愛らしさとユーモアが感じられる。
ストーリーを追うというより、アートを見にいく感じ?
でも途中、ちょっと眠くなったりもするので、映画館で見る方がおすすめかも。
小道具の濃密さがワンシーンごとにぎっしり詰まってる
映画館で見たときにまず目を引いたのは、スクリーンに表示されるアスペクト比が横長ではなく縦長に映っていたところにある。この映画はある雑誌編集部の特別な増刊号という設定なのだが、縦長で見る分、雑誌を読んでいるかのような気分になれるのがほかの映画と違うところで、そこら辺のアイディアはよく作品に表れていて好きだな。どちらかというと漫画雑誌を読んでいるような気分で、漫画は一コマ一コマでシーンがわかれているが、よく右端から左、左端から右下へと目を進めていくがこの映画も同じような気分で読むように物語が進む。あとセリフが早いし映像もぱっぱっと切り替わっていき、個人的に登場人物を覚えようと真剣に追いついていこうとするだけでかなり大変だったのだが、途中から、漫画を読むかのように絵を追いかけていくように見れば絵でなんとなく流れがわかる作りにもなっていて「読む映画」なのだと理解した。オムニバス形式で独立した話が数個あるのもなんだかエッセイ集のようでそこも楽しませてくれる一作であり、オールドファッションでそろえた衣装や絵作り、ぱっと見何時代かわからないようなおとぎ話な作風は見るものを魅了させてくれる独特のエッセンスが効いていて見ていて楽しい。
ロジックで理解したい
尖ったファッション誌を読んでいるかのようで、色彩やカメラワークは今まで観た映画では類を見ないものでした。ギャグのシュール具合もハイセンス。ただそれが仇となり内容を理解するまでには至らず、中盤からは疲れてしまった(最後のアニメーションに救われた)。昨年観たコレクティブというシリアスな組織隠蔽物がとてもつまらなく、自分の「つまらない指標」の軸になったのですが、本作も同様でハイセンスも度が過ぎるとつまらないんだなと学習できました。自分が映画に求めているのモノは物語の展開から生じる驚き、登場人物のキャラクターや心理描写を理解するプロセスなんだなと再確認。オシャレって要素はふりかけみたいなものだなと。
ただ、一瞬たりとも人を魅了する世界観であることは間違いなく、本作を理解できる人のセンスには憧れる。ロジックに落とし込んでくれる人はいないものか。
ガルム誌のトーベ・ヤンソンの絵を思い出した。
不条理な話ばかりで、取っ付きにくいが、間の抜けたおかしさがある。ビル・マーレイの芸風が生きている。トーベ・ヤンソンがガルム誌と言う雑誌でムーミンを初めて登場させるが、ガルム誌はイデオロギー満載だったと記憶する。この映画に登場する雑誌は違うかもしれないが、雰囲気はガルム誌。
言論の自由を感じる。
ロイ・アンダーソンとは無関係ですよね。なんとなく、カラフルな所が類似すると思った。ホモ・サピエンスとかさよなら人類の方が僕は好きだが。この作品も良いね。
ジャームッシュばかりがビル・マーレイをうまく使っているわけではないと認識した。やっばり、ビル・マーレイは名優ですよ。
エスプリを纏った全てのカットがとにかく饒舌、圧倒的な情報量を受け止める集中力が試される贅沢な作品
物凄く贅沢な作品。編集長の急死で突如廃刊となった雑誌フレンチ・ディスパッチお抱えのライター達による記事をベースにしたオムニバスという体ですが、ほぼ全編がスタンダードサイズの映像の中に収まっているいかにもフレンチなエスプリを纏った全ての映像がとにかく美しい。映像そのものがセリフや文字よりも饒舌なのでそれを全部受け止めようとしてもダラダラこぼれ落ちてしまいます。キャストがとにかく豪華であるのももちろん眼福、特に超絶ツンデレ看守シモーヌを演じるレア・セドゥーの突然の登場には顎が外れるくらい驚きました。エンドロールに大工と塗装工のクレジットが夥しいのも印象的で豪華絢爛なセットが組まれたことが窺い知れます。
真面目に字幕を追っていると置いてけぼりを食らう圧倒的な情報量の作品なので、とにかく眼球を剥いて映像に向き合いましょう。どうせ1回では受け止め切れないので気に入ったら何度も観ればいいと思います。
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