「しかしそれでも生きていく」BOLT 柴左近さんの映画レビュー(感想・評価)
しかしそれでも生きていく
林海象×永瀬正敏
「私立探偵 濱マイク」のコンビと聞いて見逃す訳にはいかない。鑑賞したが非常に自分の好みの映画で面白かった。
永瀬演じる「男」を描いた3つの短編で、全て3.11関連のエピソードだ。
ep1「BOLT」
タイトル通り、放射性物質を垂れ流す原子炉のボルトを締めるというだけの話なのだが、緊張感が物凄い。2001年宇宙の旅を彷彿とさせる防護服を身にまとった男たちが命懸けでボルトを締める。
劇場で観ている自分も放射能に汚染されるのではないかとソワソワしてしまった。
それだけ9年前の出来事は日本人にとってトラウマということだろう。
ep2「LIFE」
福島県の避難地域。孤独死した老人の遺品整理をする「男」。汚染されても、主人がいなくなっても、アルバムや絵はそこに残り続け、かつてはそこに生き物がいた、生活があったということを物語る。
ep3「GOOD YEAR」
福島で寂れた自動車修理店を営む「男」。その店の水槽には人魚がいると巷の子どもたちに噂されている。
突然、店の前で女が車で事故を起こす。男は女を助け、車を修理して、北海道まで行くという女を送り出す。
「私はマリア。覚えておいて。私はあなたのことを忘れない」
男は女が去った後に死んだ妻に呟く
「さっきの女、お前だったんだろ」
全編に漂っているディストピア、非現実。癖になる作風。
永瀬正敏がカッコいい。
どんなことがあっても、生きていくしかない。
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