「ずっと寝てられたら楽だけど、それじゃ楽しくないんだよ」街の上で フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと寝てられたら楽だけど、それじゃ楽しくないんだよ
下北沢にある古着屋の店員の話
学生の頃に何度か行ったことの有る下北沢ですが、私としてはブランド化されすぎて逆にダサい印象でした。
お洒落でこの町に居るだけでステータスみたいなイメージ。
当時の私はどちらかと言うと上野~秋葉原が居心地いい場所でしたので、真逆の相性だったかも知れません。実際自分の方がダサかったし…。
そんなこんなで下北沢にはあまりいい印象がなかった訳ですが、今回この映画を見て行きたくなりましたね。
やっと下北沢の魅力がわかってきたのかも知れません。本編では街中があまり映りませんが、それでも魅力的だった。
古着屋、狭いバー、古本屋、いやーお洒落っすわ。
本編はシンプルに言っちゃえば恋愛映画なのだけれど、普通の恋愛映画じゃない。
ゆったりと時間の流れる日常を写した映画だ。
そのゆったり感、急ごうにも急げない感が主演の若葉竜也にベストマッチしてましたね。
恋人には愛想つかされて、古着屋では変なカップルが来て、古本屋で気まずくなって、学生の映画撮影に参加して・・・
恋人の喪失感から踏み出そうにも未練が邪魔するし、ただただ引きずって日々を過ごす時間が見ていて心地いい。
女優陣も素晴らしかったです。
古川琴音、萩原みのり、中田青渚そして穂志もえか、素晴らしい演技でしたね。
古本屋の冬子はミステリアスで
監督の町子は映画と恋人でこじれてて
イハはちょっとなれなれしくて
雪はサバサバしてて
う~ん、各キャラの例えが一言では表せないな、いるいるこんな女性、どなたも魅力的でかわいいです。
主人公の周りにこんな子たちが現れるのですからそりゃドギマギしますよ誰だって。
まあ一番かわいかったのは主人公の青でしたがね。
劇中は色んな所で笑わせにきてましたよ、もはやコメディ映画かと思わせるほどに。
警察官との会話
古着屋のカップル
イハとの恋バナ
修羅場
成田凌
何度も思わずにやけてしまったし、笑いが漏れてしまった。
好きなシーン
マヒトゥのライブからのもらいタバコ
何かが始まる予感!?
カフェで店長と会話
後悔と笑い
バーのマスターがびくびくしながら出すウーロン茶
探り探りな対応
だめだ、好きなシーン多くて書き出したらほぼ全部のシーンになりそうなので止めます。
好きだ!この映画。
それからこの映画何回「えっ?」って言うんだよ!って突っ込みたくなるほど「えっ?」って言います。
この「えっ?」って空気感が素晴らしい。
聞き返す、驚く、悲しくなる、何通りもの使い方と場面、まさに「えっ?」の映画でした。
5人は居合わせからのこの映画唯一の疾走感もいい味出してましたね、逃げたー! 走ったー!
次のシーンはいきなり場面変わっちゃうし、あの後ほ展開に想像の余地があるのはいいですね。
結果的にケーキを食う訳ですけれど、いい落としどころでした。
なんやかんや言っても肩ひじ張らない関係が一番ですね。
懐が広い訳でも包容力がある訳でも頼りになる訳でもないけれど、青の隣は居心地がいいんだろうな。
たまにホットケーキの歌が聞けたらきっと幸せですよ。
今泉監督の作品は「愛がなんだ」以降しか見てないけれど、今一番恋愛映画が上手に撮れる監督だと思います。
今後も見てほっこりしたりモヤモヤしたり楽しい映画体験をさせて頂きたいですね。
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劇中セリフより
「なんか丁度いいって言うか…」
熱す過ぎても冷た過ぎても長くは風呂に入れないもんですよね。
ぬるいと長く入ってられるけど刺激がないっていうジレンマ・・・
案外、丁度いいって一番難しい。