「アイネクライネナハトムジーク@下北沢ver.」街の上で しーげんさんの映画レビュー(感想・評価)
アイネクライネナハトムジーク@下北沢ver.
同じ街で暮らす、名も無き(?)若者たちの群像劇。
何気ない生活を固定カメラでコツコツと、余白たっぷりに積み重ね、気づけば最高純度の映像世界を形成。
一見冗長なようだが、伏線を思わせる台詞や表情(全く何でもないのが憎い…笑)が垣間見られ、作品を引き締めている。
日常の描写でありながら、クスッと笑える絶妙な物語性を随所に感じる。点と点が繋がる終盤は波状攻撃。しかしどの人物もこの瞬間に真っ直ぐ向き合い、必死に受け入れよう呑み込もうとする姿が可笑しくも愛しい。
ゆったりとした作品世界を支える、俳優陣の力量は言うに及ばない。最近注目している萩原みのりさんのショートカットがかっこいい。撮影時期が『佐々木、イン、マイマイン』より前だったのかな。
行きつけ店のマスターと話す安心感や、初対面の異性と赤裸々な恋バナを自宅で展開する不思議な緊張感などは、着飾らない人物描写に長ける今泉監督だからこその表現。何か起きそうで起きない、監督の作風を全感覚で堪能できる一作。
p.s.若葉くんそのままでいいのに、なんでそんなに堅くなるの!!…笑
コメントする