「当たり前だけど、人間は自分が見ている範囲の他人しか見えない。」街の上で jsさんの映画レビュー(感想・評価)
当たり前だけど、人間は自分が見ている範囲の他人しか見えない。
とても楽しい映画で、いくつものシーンで劇場内にくすくす笑いが発生したのも納得です。
映画が編集によって取捨選択されたカットから構成され、観客には編集段階で落とされた無数のカットが目に入ることがないのと同様に、人が人と関わるとき見えているのはほんの一部分。当たり前ですけど。しかし見えない部分は確実に存在するのであり、見えない部分があるから見える部分がある。というようなことが実に巧みに表現され、絶妙に噛み合わずすれ違うやり取りとなって笑いを誘うのです。
日常の中でふと現れる、言葉では言い表せない何だかちょっと変な感じ。今泉監督は、生身の俳優たちがカメラの前で演じることでしか生まれない何かを抽出するのがほんとうにうまいですね。
あと、私はそれなりですが、下北沢に馴染みのある人は知っている場所がたくさん出てきてそういいう意味でも楽しいでしょう。
もう1回観てもいいな。早くまた映画館で楽しめる日が来てほしいものです。
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