「魔性の女と鈍感ヤサ男」街の上で kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
魔性の女と鈍感ヤサ男
男にとって女性の気持ちは理解できないものである。私はあなたと別れたものとして過ごすけど、あなたは私とつきあってるつもりでいいよなんて言っちゃう。主人公・青(あお)の彼女・雪が別れ際にそんなセリフを放つ冒頭。たしかに斬新な意見!
でもそこからは下北沢で普段の青が淡々と描かれつつ、いろんな女性と出会っていく。どれも細かいエピソードなんだけど妙におもしろい。ちょっと長すぎじゃない?と思えるほど意味のなさそうな長回しも大事な間なんだと受け入れることができた。
雪に未練たらたらで次の恋のチャンスが訪れても青は選択肢を間違えたり、鈍感で気づかなかったりする。そんなダメで情けない男の物語と受け取りつつあった。
でも後半の地味なんだけど修羅場的なシーンから雰囲気が変わる。テンポも間も絶妙で一番笑えた。で、雪が浮気(その後付き合ったから今彼か)した相手と青の部屋を訪れるシーンに続く。ここもいい。あんな感じで「バカ」から「好き」と言われたら男はたまらない。浮気して違う男とつきあったのに、それらを全部許してしまう力があった。本当に男はバカだ。でもラストの笑顔を見たらそれでもいいと思ってしまう。女性の気持ちは理解できないけど、気持ちを揺さぶられるのも気持ちを落ち着かせてくれるのも女性なんだよ。あー、本当にバカな男の意見だ。
でも冷静になると青のモテ話に過ぎないことにも気づく。いい感じで騙されたぞ、コノヤロー!
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