「対話の中に温かな安らぎ」街の上で 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
対話の中に温かな安らぎ
三度目の鑑賞、街の日常の風景が恋しくなる。
改めて観て知った発見もあり…
相手が知らない場面でのふとした思いやりが連鎖していく様、それが街の幸福な景色へとおとし込まれている。
単調な奥深さと素直な感情の交差を満喫。長回しで収めるは“絶妙な自然体”だ。街の中で交錯する若者の生活模様と、数珠繋ぎな会話から発生する思わぬ巡り合い。この空気感で帰着するこの結び方には、素直にホッと満たされる。同時に、素敵な連なりを映し出すスクリーンに、密かに嫉妬も抱く。この若い感性で織り成す物語には、既に立ち入れない年齢になっている自分はいる、けれど街の上で日々起きる出来事に期待感はいまだ止まらないのだ。
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