「今泉力哉ワールドが全開!」街の上で あささんの映画レビュー(感想・評価)
今泉力哉ワールドが全開!
東京 下北沢を舞台に繰り広げられる 若者たちの恋愛や愛おしい日常を切り取った群衆劇
別れた恋人のことが忘れられない男性
憧れの俳優と浮気をするも元恋人の良さに元鞘に戻ろうとする女性
歳の近い姪っ子に恋をするお巡りさん
いつも好きになるのは既婚者という女性
役作りのために必死に太る男性
気持ち良いくらいに物事をはっきりと言う関西弁の女性
小生意気な美大生の映画監督
彼女に振られても合鍵を持ち続ける男性
市井の人々の様々な恋愛模様や恋愛観が本作を通して浮き彫りになる。
『愛がなんだ』や『his』のように「こんな恋愛があってもいいよね」「いろんな愛があるよね」的な、今泉監督の全肯定が作品にも表れているから、彼の作品ってどこか温かくて瑞々しくて包み込んでくれるような優しさに溢れている(「あの頃。」「his」も優しさで溢れていた)。
また日頃私たちの感じている言語化できない気持ちをセリフや演出で巧みに表現している。
壊されてはつくられ、時代とともに移ろいゆく街のように、我々もいつか居なくなる。
だけど確かに存在する。街も人も、恋も仕事も友情も。人々の気持ちのズレやその時に感じた喜び悲しみ、あの人の温もりや冷たさも。
古着屋、古本屋、レコード、味わいのあるカフェ、バーやライブホールなどサブカルの街 下北沢の魅力も本作を通して伝えている。本作は下北沢映画祭からの依頼で2019年に製作されたんですね。
今作も今泉監督作品でお馴染みのキャスト陣が脇を固める。
彼の作品に出演するキャスト達は、親近感があり味のある人たちが多いから、観るものにリアル感を与えより共感を生むのかも。
最後の路上で男女が集まり、わちゃわちゃするシーンは可笑しかったなぁ。最高でした!