「コホーテク彗星が地球上の罪を洗い流してくれるワイパーになる」ポイズンローズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
コホーテク彗星が地球上の罪を洗い流してくれるワイパーになる
私立探偵を主軸に置いた、よくあるハードボイルド作品だが、最後には悲運のジェインの哀しみも伝わってくる。ジョン・トラボルタが探偵役をやったらどうなるか?地元の首領となったモーガン・フリーマンの扱いは?『X-メン』の初代ジーンの演技はいかに?と、惹かれる内容は盛りだくさん。
尺も長くないし、ハードボイルドとしてはとても見やすい。精神病棟の闇とアメフトスター選手の死が交錯し、カーソンの故郷であるため友人も多いところが絶妙だった気がする。モーガン・フリーマン演ずる麻薬ディーラーの首領ドクはテキサス州の黒人であるということも異色ではある。保安官(ロバート・パトリック)も古くからの付き合いだし、彼らの罪まで暴こうとはしないところが人間味のあるところ。
社会派クライムストーリーだったら、こうは上手くまとまらないはずだ。LAの私立探偵でもあるし、依頼されたこと以外は手を付けない。本当に殺した犯人だけ見つければいいのだ。複雑そうで単純。病院の医師ミッチェルは裕福な患者から死亡したにも関わらず医療費をむしり取り、おまけに麻薬製造、アメフト賭博にも手を出す悪党。いかにジェイン、ドク、ウォルシュに被害が及ばないように片づけるかがカーソンの力量にかかっている。
ジェインの娘が実はカーソンの実娘であるところまでは想像の範囲内だし、相手の銃弾がカーソンに当たらないのもご愛敬だと思えばなんともない。そして、本当に殺したのはミッチェルで良かったのか?と、最後にひらめくところも愛情のカタチなのだろう・・・麻薬の成分の中に抗がん剤が含まれていたこともキーポイントだった。その後のジェインの残りの人生をも想像すると、やはり悲しさも溢れてくる・・・