「火事場の馬鹿力、ボディースラム」ザ・ピーナッツバター・ファルコン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
火事場の馬鹿力、ボディースラム
同年代の友達が欲しいという感覚。ダウン症の青年が老人養護施設に入れられているだけで可哀そうだった。だけど、脱走を手伝ってくれたりする粋な爺ちゃん、旅の途中で知り合った盲目の爺ちゃんが素敵だ。いきなり銃を撃つところは『ブルース・ブラザース』のレイ・チャールズを思い出しちまった。
とにかく、自由を追い求める22歳のザックが微笑ましい。大好きなプロレスラーにレスラー養成学校で教えてもらうことが夢なのだ。そんなザックに親身になってくれるタイラー。彼もまた兄を亡くしたショックから立ち直れず、カニ漁の獲物を盗んだり、腹いせに放火してしまったりと、精神を病みそうな状況だったのだ。
ザックを演ずるのは映画スターになりたいと夢をみるザック・ゴッツァーゲン。共同監督の二人が彼と出会ったことで映画も作られたのだ。タイラーは二人の監督をそのまま投影した存在だったに違いない。ダウン症の子は素直で周りの人間関係をも良好にしてくれる。タイラーとエレノアが家族のような連帯感を醸し出したのもザックのおかげなのだろう。
そんな中でもっとも優しいキャラだったのがクリントasソルトウォーター・レッドネックのトーマス・ヘイデン・チャーチ。覆面レスラーではないけど、タイガーマスクを思い出してしまいました。VHSのビデオテープが擦り切れるまで見て憧れたのもよくわかる。ザックは人間の本質をも見抜いていたのかもしれませんね。
ロードムービーとしては、あまり変わり映えのしない風景ばかりだったので、その辺りが残念だったでしょうか・・・
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