劇場公開日 2019年12月13日

  • 予告編を見る

「文学の薫り」再会の夏 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0文学の薫り

2025年1月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「再会の夏」というタイトルでは全く予想できない第一次世界大戦時代の話でした。現在と過去を行き来しながら進むうち、徐々に「真相」が明らかになっていくわけですが、何ともいえぬ心地よさがありました。例えていえば、よくできた小説を著者の誘う文体に身を任せ、読み進めていくような感じ。描かれる断片的なエピソードやさりげない台詞から登場人物の心模様や戦時中の様子などを知り、少しずつ彼や彼女や犬のことを赤の他人ではないような気持ちで見ていました。ジャン・ベッケル監督作品は「クリクリのいた夏」(99)や「ピエロの赤い鼻」(03)でも似たような感触があったかもしれません。監督の人柄が温かな作風に反映しているような気がしました。派手さはありません。しみじみと染みる文学的趣のある作品でした。

赤ヒゲ