再会の夏のレビュー・感想・評価
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戦争に参加した犬
ジャック・モルラックは有罪になりたがっている。一方の軍判事ランティエ少佐は退役間近で、彼をなんとか釈放したいがため、モルラックの恋人の家へと通い説得するよう頼み込む。
結局はあれか?「三銃士」は理解できたのに「若きウェルテルの悩み」は理解できなかったということか・・・戦争に行っていたために恋人の浮気という疑心暗鬼に陥り、革命記念日に軍を侮辱するような行為をして逮捕された。
出会いの頃、戦争体験、営巣生活とバランス良く描かれてはいるけど、興味深いのは連合国とは言え言葉が通じず上官の命令が杜撰だったとか、犬についていってロシア軍の塹壕へとお邪魔したというエピソード。間違った戦争をいかに終わらせるのが難しいかといった思いも感じられる。
ミステリーの部分は恋人ヴァランティーナの部分じゃなくて、革命記念日にジャックは何をしたのかということ。判事がとにかく無罪放免にしようと努力するほど大した事件は起こしてないはず。まさか最後の最後まで犬が絡んでいたとは驚き。その犬・・・そろそろ名前をつけましょうよ。
第一次大戦当時のフランスが感じられる映画
犬に罪はない、ということなのでしょうね。しかし、第一次大戦の頃って犬を戦場に連れていけたんですね。きっと軍用犬に登録したりとかあったのでしょうけど。
なんか、反戦とか社会性とか、そういうことよりも、時代に翻弄される主人公と、ただただ主人に付き従う犬とを対比させる、ヒューマンドラマだと思いました。当時のフランスの田舎を感じることが出来て、まるでミレーの絵画を見ているように楽しめた感じです。舞台が日本だったらどこになるんだろうなぁ。東北とかなのかなぁ。
名前のない黒犬の真意は
思わぬ勘違いから視聴。
忠犬ハチ公のようなドラマ展開かと思っていたけれど、血生臭い戦争により心に闇を抱えてしまった一人の男性の誤解から生まれる愛と反戦のミステリーでした。
軍判事ランティエがとにかく人柄がよく、人犬を関係なく接していることで、まるで"名探偵ランティエ"と呼んでしまいそうなストーリー。
感情移入が全く出来ず個人的には物足りなさが残るクライマックス。黒犬に名前さえあれば愛着が湧いたかも。
嵐の前の静けさ。
嵐の前の静けさ。
この家族に今後押し寄せてくる嵐を全く匂わせずに映画は終る。傑作だと思う。
争いを続ける人間の本性と、争いを作る者に対して、皮肉をたっぷり込めている。
フランスは第二次世界大戦の時には『まやかしの戦い』を仕掛けて、ドイツ軍にパリをほぼ無血開城している。フランス人にとっては、第一次世界大戦の方が、過酷だったと僕は高校の世界史で習った。なるほどね。
やきもち?
黒犬メインかと思い、前から気になってた作品、ようやく鑑賞。
犬メインかと思いきや、それほどでもなく、犬はただ後をついてくるだけだった。(笑)
とはいえ、戦場についていく、連れていくほどだから愛情たっぷりではあったのだが。
そもそも誰に一番懐いていたのか。モルラック?そんなに親和が取れてたの?
あの女性の家に番犬として置いておいた方がよかったのでは?なんて思ったり。
昼夜を問わず大型犬が吠えていたらご近所は嫌になると思うが、そこは地域柄?または牧歌的な時代故?犬に石を投げる看守の方が責められる。(笑)
以上犬と人の関係についての感想。
忍耐強く説得を続ける少佐にまでなかなか心を開かないモルラックさん。
最後はいつまで拗ねているんだ〜?と言いたくなった。
ヴァランティーヌさんも、なかなか口を割らないし。
モルラックさん、やきもちもあって素直になれなかったのか?
作品の半分くらいは回想シーンで、戦争の傷跡について物語る。
いつの時代でも、戦争はダメ。
プーチンはなぜわからんのか…
陰鬱な塹壕と明るい田園風景
第一次世界大戦後のフランス。ある罪を犯して収監された元招集兵と、彼を尋問する軍判事の物語。
WOWOWでは、ヒューマンミステリーと書かれていましたが、ミステリー要素は殆どない人間ドラマでした。
テーマは・・・多分二つ。
まず、戦争の残虐性に対する批判を、元招集兵とその飼い犬を通して語ります。
そして、もう一つは、元招集兵と妻の再会です。
決して軽くはないテーマのはずですが、軍判事の人柄と暖かい陽射しに包まれる田園風景が程よく中和します。
鑑賞後には「暖かい陽射し」の記憶が残る、そんな映画です。
ミステリーを期待して鑑賞した私には高い評価は付けにくい作品でしたが、とても完成度の作品だと思います。
うん、思ってたのとは違った
思ってたのと違ったってレビュータイトル見たけど、私も、勝手に想像していた話とは全く違う物語でした。
戦争に行って会えなくなった犬との帰還後の再会かと勝手に思っていたので、犬を挟んでひと組の夫婦が再出発する話だとは、想定外。
タイミング、悪かったねー、
ヴァランティーヌの、身重だから力仕事頼んでた男性が、たまたま裸だったところに帰宅しちゃうって。
男って、ああいうのダメな人多いなーって、若い頃思い出して笑ってしまった。話くらい聞けよ。器小さすぎだろ。
2匹の犬を飼っていますが、人が繰り返して躾けた(刷り込んだ)行為をするのはいたって普通で当たり前、争いの引き金をひかせるなんて、人が愚かなだけ。
いや待てそもそも、戦地に連れて行くことも、それ以前に…戦争自体が…人が愚かなだけ。
せめてあのとき繋いでおけば、あの場所で血は流れなかったのにね。でもそんなことで終わるほど戦争は単純じゃないから、かえって多くの血が流れることになったかもしれないけど。
細かくたくさんの愚かな場面と背景に反して、自然が美しく、動物たちが可愛かった。
思ってたのと違ったけど、違っていて良かった。
戦争とは人間を犬にしてしまう〜
大きな黒い犬がずっと
牢獄の中の主人に向かって吠え続ける
なんかそれだけでドラマティック!
声高に反戦を叫ぶのではないけど
ちょっと洒脱に、
でも鋭く反戦を唄う映画。
さすがにフランス映画は上手いな〜〜
大人な映画が好きな方にはオススメです。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
一見地味なルックの映画ですが内容は結構重い。
「戦火の馬」とか「ワンダーウーマン」でも描写された
第一次世界大戦の頃の塹壕戦。
その深い塹壕の中で兵士たちは本当は
早く戦争が終わることだけを願っている。
塹壕の中で歌う兵士たちの姿は人間らしかった。
でも国は、愛国心という名の下、
兵士達を英雄に祭り上げる事で
犬のように盲目的に主人に従う存在にしようとする。
犬は賢いけど所詮は動物!
襲うことしか解らない〜
兵士は人間で、犬とは違う!
改めて、戦争は嫌だし
愛国心などと言う言葉に騙されちゃダメだ!!!
同じ映画.comレビュアーの耶馬英彦さんのレビューが
私の言いたい事を見事に言語化されてるので
よかったら参考にしてみてくださいね。
@お勧めの鑑賞方法は?
スケール感はパソコンやテレビで観ても良いと思うけど
集中するには映画館かな〜〜
犬というスコープを通して見えてくるもの
いろいろなメッセージの込められた作品だと思う。
ランティエと、犬、モルラック、そしてヴァランティーヌとの対話のなかで、戦争からその後の事件までの悲しい事実が明らかになっていく。
愛国心や正義を煽られるが、前線で戦う兵士には、戦争の目的は、実は曖昧だ。
モルラックは、和解のための行進で、敵に噛み付いて、戦闘に発展させてしまった犬に、前線で戦う自分を重ね合わせたのではないか。
モルラックは、当初、状況を理解できなかった犬に腹を立てつつも、実は命令に背いているのは自分達であって、犬は忠実だったことに気が付いた。
そして、終戦、帰還。
原題タイトルの、「(犬に掛けられた)赤い首飾り(勲章?)」の赤は、フランス国旗の友愛を示す色だ。
フランスの田舎の村人たちのドイツ系ユダヤ人であるヴァランティーヌに対する偏見、人付き合いの下手で頑ななモルラックへの偏見、モルラックのヴァランティーヌに対する誤解なども内包し、ランティエは地道な調査を続け、取り返しのつかない命令につき従うだけだった戦時の自らの行為を省みながら、モルラックを解放しようと努力を続ける。
そして、変わらず寄り添おうとする犬。
しかし、ヴァランティーヌも変わらず、モルラックを待ち続けていた。
勲章の赤は、フランス国旗の示す友愛の赤のはずだ。
人は許し合いながら、友愛を育むのではないか。
犬というスコープを通して、人間を見つめようとする寡作だと思う。
【第一次世界大戦後、男が自らに与えられた勲章を愛犬に与えた理由】
第一次世界大戦で怪我を負ったジャック・モルラックは言う。
”偉い奴らは馬の上から、訳の分からない指示を出すだけ。勲章を与えれば、人が犬の様に働くと思っている・・”
彼は、ある行為を憤懣遣るかたない気持ちで行うが、その背景にはもう一つの理由があった。
フランソワ・クリュゼ(「最強のふたり」の演技は忘れ難い。)が演じる、退役が近い軍判事、ランティエ少佐は彼の気持ちを優しく解きほぐしていく。そして、彼の行為のもう一つの理由に気付く・・。
第一次世界大戦中、革命が起こったロシア兵たちとモルラックの酒を酌み交わしながらの遣り取りも面白く、ラストシーンに安堵した作品。
忠犬を”演じた”犬の”俺は真実を知っているんだ!”と言わんばかりの、吠えっぷりも宜しかった作品。
淡々とした優しさに満ちた傑作
最初に犬が登場する。かなり大きな犬である。噛まれたら相当なダメージを食らいそうだ。それが最初の印象だったが、実はこの印象がそのまま物語の重要な鍵になる。
第一次大戦はヨーロッパが主戦場で、ドイツの東西に東部戦線と西部戦線があり、「西部戦線異状なし」は、小説も、それを原作とする映画もあまりにも有名だ。第二次大戦と比較して武器はまだどちらかといえば原始的で、銃剣による肉弾戦が主体だった。自分の手で敵を刺し殺すのは生々しい実感がある筈だ。
第一次大戦の当時は、フランス革命から130年ほど経っていても、まだ自由と平等と友愛の世の中は訪れておらず、個人の人権よりも共同体を優先させるのが世の中のパラダイムであった。戦争であまりにもたくさんの犠牲者を出したことから、合衆国大統領ウィルソンが提唱した国際連盟が設立され、第二次大戦後には国際連合となったが、加盟が国家単位である以上、共同体を優先させるパラダイムの範疇から出ることはなく、つまり個人の人権よりも共同体の利益と存続が優先されるのは変わらなかった。国際連盟も国際連合も共同体同士の約束である以上、戦争を防ぐことは出来なかったし、これからも出来ない。
本作品に登場する戦争の英雄ジャック・モルラックが愛国心という言葉を否定するのは、それが共同体のパラダイムであり、戦争の根源になっていることをわかっているからだ。非常に論理的であるが、世の人々には愛国心が戦争を後押ししていることがわからない。愛国心は平和の敵なのだ。
主人公ランティエ少佐は寛容の人である。人が個人として尊重されなければならないことを知っている。モルラックは戦争の英雄とは残酷な人殺しに過ぎないことを暗に主張し、少佐はそれを理解する。兵士は犬だ。勲章は人間よりも犬に相応しい。
愛国心が共同体のパラダイムである限りは、戦争はなくならない。ガンバレニッポンという気持ちは、戦争に直結する危険な情緒なのだ。日本人が日本を応援して何が悪い、と思う人は、応援しない人を非国民として弾圧する人に等しい。
いつしか寛容が共同体のパラダイムになる日が来るかもしれない。そのためには人はコンプレックスや虚栄心や自尊心を捨て去らなければならない。そのことは2500年前にゴータマ・ブッダが説いているが、未だに実現していない。おそらく人類が平和な世の中を実現することは不可能なのだろう。
しかし人類は人類、個人は個人だ。モルラックが共同体への絶望と怒りを一旦横において、個人としての優しさを獲得することができると、ランティエ少佐にはわかっていたようだ。哲学的な作品だが、淡々とした優しさに満ちた傑作である。
人柄
186本目。
さあデッド・バンディ観ようと思ったら、ほぼ満席。
てな訳で近くですぐに観れると思いチョイス。
何かね優しい、人柄が溢れる作品かな。
動物出てくるから、やべー泣くと思ったけど、まあそこまでではなかった。
今一つ惜しい戦争批判作品
粗筋から思い描いていたようなミステリー要素はあまり無い。
勲章を犬に与えて、国家侮辱罪に問われた兵士。その理由もすんなり自身が語っているし、その件について軍判事が聞き込みを行うのだが、周囲の人々に話を聞いて回る程度で、大した重大事実も出てこない。重要人物である兵士の恋人についても、然程の秘密がある訳でもない。
この物語の主題は、戦争の悲惨さ、非道さを訴えるものだと思う。
人間性を奪われ、命を消耗品として扱われ、上層部の愚かな命令に盲目的に従って、殺し、死ぬ事を強要された、最下層の兵士の怒り。
ならば、最も勇敢にそれを果たしたのは、戦場に付き従った犬ではないかという、強い憤り。
一方、国の従僕として、軍の規範と戦争の正当性を主張する立場である軍判事も、ソンムでの激戦を経験し、内心では国家の過ちを否定できない。
だからこそ兵士に同情的で、彼を放免しようと画策するのだが…。結果が、事件の引き金は、出征中の恋人の不貞を疑った自暴自棄行動でもあった、というオチ。唐突な痴話喧嘩のようなエピソードで、戦争批判のテーマのエッジの鋭さが削がれ、何だかモヤッと、感情の持っていき所がない感じに…。
同時代、同様のテーマを描いたものは数多く、他に良作があるだけに、イマイチ肩すかしな印象となってしまった。残念。
☆☆☆★★ 簡単に。 流石ジャン・ベッケルと言うべきか、その語り口...
☆☆☆★★
簡単に。
流石ジャン・ベッケルと言うべきか、その語り口は上手い。
判事ランティアが「さあ聞こうか!」とモルテックに語りかけ、どんな出来事があったのかを観客は知る。
寧ろ上手すぎる上に。内容及び映像的にもウェルメイド過ぎるが故に、刺激が足らないのが欠点と言えば言えるのかも。優等生的な…。
でもこれ。『軍判事ランティア』シリーズとして続編が出来たら面白そうだし、実際にも観てみたい。
「この考えはどうだい?ポール! 勿論、君も一緒だよ!」
2019年12月14日 シネスイッチ銀座1
英雄、勇気、愛国心は愚かな戯れ言
原作未読
第1次世界大戦直後、フランスの田舎町の収容所に入れられている男モルラックをめぐり、軍事裁判にかけるか否かを軍判事のランティエ少佐が彼の過去を調べる話。
収容所の外で昼夜問わず吠えるモルラックの犬に対しても関心を示し優しく接する少佐。
まぁこの犬に嫌悪感を示すのは看守だけな訳だけども。
話がよく見えないところからはじまり、少佐が語らないモルラックと向き合い、周囲から聞き出し、戦時の活躍や犬とのこと、収容所に入るに至った経緯と共にモルラックの想いを引き出していくストーリー。
過去の話を小出しに語っていくという見せ方だから意外性は余りないけど、真実がみえてくると戦争の虚しさと悲惨さと共に温かさも感じられて、なかなか面白かった。
全22件中、1~20件目を表示