「まあ、こんなところでしょう」インデペンデンス・デイ2016 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
まあ、こんなところでしょう
勝手便乗、パクリ屋のアライサム製作、言わずと知れたエメリッヒ監督の同作のもじりですね。
不思議なもので、なんちゃってものだと分かっているのに興味をそそられるから我ながら困った性分です。仮にインデペンデンス・デイのパロディを作れと言われたら自分ならどんなプロットを考えるか想像してみると、さぁ大変、あながちアライサムを馬鹿に出来ないことに気付いてしまう・・。
インデペンデンス・デイの特徴といえば、SFなのに手に汗握る空中戦とかアナログ感を残しているところ、どでかい宇宙船、闘う大統領、凄腕パイロットと天才SE、エイリアンの生け捕り、老兵の献身的活躍、コンピューター・ウィルスが鍵ってところでしょうか。
本作では監督も女性のせいかしら、大統領を女性に、敵も女王エイリアンという設定、まともに戦えばシガニー・ウィバーのエイリアン2になってしまいますね。
飲んだくれの老パイロットに代わって民兵が出てきます、アメリカでは自称も含めて576の民兵組織があるそうですからアメリカの観客のくすぐりにはもってこいなのでしょう。
工夫としては、エイリアンをいきなり地球征服の侵略者としてではなく大統領の息子の怪我を治したり善人ぶった詐欺まがいを仕掛けるところでしょう。喰われるか奴隷にされるのが落ちですが奴隷では人類史の汚点そのままなので人類の血を吸うバンパイアにしていました。
アライサムは別作品のCGやセットの使い回しで予算の節約も毎度のこと、UFO内はトムクルーズのオール・ユー・ニード・イズ・キルをパクったウォー・オブ・ザ・ワールドのセットでした。
本家同様、コンピューター・ウィルスも使われますが効果なし、宇宙人が地球のばい菌やウィルスに弱いのはH・G・ウェルズの宇宙戦争以来の定番です。
地球言語も操る高度な科学をもった異星人ならウィルスがやばいことくらいは知っているでしょう、チェックするのは銃器だけというのは無防備すぎる。都合よくUFOを乗っ取るのも出来すぎ、エリア51のエピソードでも入れて以前からUFOの操縦は研究済みくらいの伏線が欲しかった。
まあ、突っ込みどころを残すのもマニアへのごちそうなので良しとしましょう、ローラ・ベス・ラブ監督は撮影監督出身だとか、本作でも兼ねていました、女性なのにと言ったら怒られそうですがキワモノ映画にもかかわらず女性ならではの視点が加わるのは大歓迎、応援したくなりました。