劇場公開日 2019年11月9日

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「みずみずしく同性愛を描いたケニア映画」ラフィキ ふたりの夢 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5みずみずしく同性愛を描いたケニア映画

2022年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2018年作。
ケニア映画として初めてカンヌ国際映画祭に出品された映画です。
ケニア=アフリカの国
まったく知らない国と人々です。
いかにもアフリカと私たちが思い描いているカラフルな色彩。
澄み切った空にアパートに掛けられた洗濯物。
スケボー。路上のダンス。
室内は想像以上に色彩に溢れている。

主人公の2人の若い女性。
ケナとジキ。
ボーイッシュで贅肉0%のスリムなジキ。
ジキとは対照的にむっちりしてるし、顔も派手なケナ。
スティービー・ワンダーみたいなケナの編み髪は、レインボーカラーなのだ。
そんな2人は一眼見た瞬間から恋に落ちる。

ケナの瞳と唇。
ジキの瞳と唇。
2人ともクッキリした大きな目と、たらこ唇を持っている。
ケニアでは同性愛は違法、禁固刑もあり得る。
重たいテーマなのだ。

しかし映像は明るいし、スタイリッシュで可愛らしい。
乙女チックです。
そして、なんと2人の父親は国会議員候補で、対立しているのだ。
2人の恋愛は家族も政治も巻き込んでしまう。
映画は、ケナとジキが暴行を受けるシーンもある。
でもそんなに深刻に殺人が起こったり、警察に収監されたり・・・そんな展開はして行かない。
どこまでも、明るく可愛らしい映画だ。

しかし現実には、ケニアで一般上映は許可されず、市民は観る事も叶わない映画なのだった。
それだけケニアは同性愛への拒否感は根強いのだ。

女性監督のワヌリ・カヒウ監督が脚本も書きました。
「ラフィキ」製作の実現には資金調達を含めて準備期間が6年近く掛かったと聞きます。
ケニア映画としてはじめてカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、
本国ケニアでもたった1週間の上映がやっと実現しました。
そんな困難を感じさせないほど、映画は瑞々しく美しい。
「ラフィキ ふたりの夢」
その明るさに、ケニア映画の希望と可能性を強く感じる。
そして遠いアフリカのケニアの若い女性たちは日本の女の子たちと、
少しも違わないのだ。
(その事に驚く自分にも驚いた。)

琥珀糖