「「ケニア」という看板を外してみれば」ラフィキ ふたりの夢 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
「ケニア」という看板を外してみれば
国内“上映禁止”に象徴されるように、かなりの制約のもとで制作された、社会的意義のある作品なのだろう。
ただ、ケニアの事情に知識が無く、かつ、LGBTが深刻な問題ではない自分には、あまり心に響かない映画だった。
2人が仲良くなる下りまでは良かったが、その後の展開が、淡泊だしゴチャゴチャしている。
本来なら作品の中心テーマとして描かれるべきはずの、“禁”を犯すスリルや葛藤、生臭い苦しみや歓びの描写が乏しい。
これでは、「適当に周囲から隠せば、LGBTは大した問題ではない」という印象さえ持ってしまう。
また、LGBTだけで十分なはずのに、“選挙の対立候補の娘たち”という構図を重ね合わせる意義が理解できない。
結局、LGBTというタブーが問題なのか、政治が問題なのか、よく分からなくなっている。
ケニア映画ということで興味深いのだが、「ケニア」という看板を外してみれば、スタイリッシュなだけで、掘り下げの浅い映画にすぎないように思う。
コメントする